いすゞのピックアップトラック『D-MAX』が大幅改良。デザインの刷新や走破性向上でシェア拡大を目指す

 10月6日、いすゞ自動車は大幅改良を施した1トン積みピックアップトラック『いすゞD-MAX』をタイのバンコクで発表した。同車は10月12日よりタイでの販売が開始され、順次グローバルに展開されていく予定だ。

 現行の3代目D-MAXは2019年10月にデビュー。いすゞのグローバル戦略車としてアジアやヨーロッパ、中東、アフリカ、中南米、オセアニアなど100カ国以上の国と地域で販売され、力強いデザインや悪路走破性、優れた燃費性能などが世界中で高く支持されている。今回の大幅改良は、内外装のデザインに磨きをかけるとともに、世界中の幅広いニーズに対応することで、さらなるシェア拡大を狙ってのものだ。

 改良が加えられたエクステリアのデザインは、新モデルのコンセプトである『剛』(ストロング&アグレッシブ)、『駆』(スポーティー)、『進』(フューチャリスティック&デジタル)を表現したものに。フロントはエンジンフードにパワーバルジを追加して力強さを強調するほか、ヘッドランプにはキャラクターランプを追加することで新しさとスポーティーさが演出された。

 また、フロントバンパー左右に新設されたエアカーテンや、テールゲート上部のスポイラーの大型化によって空力性能を向上させ、機能美も追及。リヤではテールランプのデザインを3段のL字型モチーフで強調し、翼を広げているような印象と車両のワイド感が表現されている。

いすゞD-MAX デザインスケッチ(フロント)
いすゞD-MAX デザインスケッチ(リヤ)

『靭』、『麗』がコンセプトのインテリアは、インパネのセンタークラスターに新しいU字シェイプを採用し、力強さとインフォテーメントディスプレイの一体感を強調。インフォテーメントディスプレイにはダイヤル式スイッチを追加することで操作性の向上が図られている。また、7インチに拡大されたメーター内のTFTディスプレイとインフォテーメントディスプレイにはいすゞユニークのGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)が採用され、タッチスクリーンの使いやすさと視認性が向上。それとともに洗練された上質感が演出される。

タッチスクリーンの使いやすさと視認性の向上が図られたディスプレイ類。メーター内のTFTディスプレイは7インチに拡大された

 今回の大幅改良ではデザインのみにとどまらず、走行性能の向上も図られている。D-MAXの売りのひとつである悪路走破性能に寄与する4WDシステムは、今回の改良でリヤデフロック作動時のトラクションコントロール領域が拡大された。これにより片輪が浮いて駆動力が抜けてしまう場合でも、浮いているタイヤのブレーキ制御を行い、もう一方のタイヤに駆動力を伝達できるようになり悪路での脱出性が向上した。

 さらに『ラフテレインモード』が新たに追加され、悪路走行に最適なブレーキ、エンジン制御が可能となっている。このモードでは車両が最適なタイヤ回転数になるよう、エンジン出力やブレーキを制御することで、アクセル操作だけで悪路での発進・加速時のトラクションを確保し、高い走破性を実現する。

 この他、新世代のステレオカメラを新たに採用し、先進安全装置の機能が追加された改良型D-MAXの発表イベントに出席したいすゞの南真介社長兼COOは、次のようにコメントした。

「いすゞはカーボンニュートラル社会実現に向けて積極的に取り組んでいます。今後、タイにてバッテリーEVピックアップトラックの生産を計画しており、まずは欧州から導入し、タイを含め市場のニーズに応じて順次投入を検討していく予定です」

「いすゞのピックアップトラックにとって最大市場であるタイへの期待は、将来に向けても揺らぐことはありません。これからもタイの皆さまに貢献できるよう、ともに『運ぶ』を創造し、末永く愛される企業であり続けたいと考えています」

大幅改良でデザインの刷新と操作性の向上が図られたいすゞD-MAXのインテリア
いすゞD-MAX シングルキャブ
いすゞD-MAX エクステンドキャブ
いすゞD-MAX ダブルキャブ

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