姫路の一等地、ヤマトヤシキ跡地 複合マンション25年末に完成へ 16階建て、1階には店舗

マンションの完成予想図(近鉄不動産提供)

 2018年2月末に閉店した老舗百貨店「ヤマトヤシキ姫路店」(姫路市二階町)の跡地活用を巡り、近鉄不動産(大阪市)と大林新星和不動産(東京都)は、16階建ての複合マンションを建設すると発表した。1階には店舗が入居し、25年12月の完成予定。閉店から5年半がたち、ようやく大手前通りとみゆき通り商店街に面する一等地の跡地活用が決まり、関係者からは安堵(あんど)の声が漏れた。(井上 駿)

■商業関係者「やっと動き始めた」

 マンションはみゆき通りに面する16階建ての東棟と大手前通りに面する11階建ての西棟で構成され、名称は未定。住居数は200戸で、各戸の広さは60~160平方メートル。タワーパーキングやゲストルームなどを備え、長谷工コーポレーション(東京都)が施工を担当する。

 両棟の1階部分には店舗用スペースが計6区画設けられているが、近鉄不動産によると、現時点で入居テナントは未定という。

 旧姫路店は1951年、空襲で焼け野原となった市街地に市内初の百貨店としてオープン。57年に地上8階(一部12階)建ての大型店舗に増築された。その後も売り場面積を拡大。赤色の屋上看板はまちのシンボルとして親しまれた。

 だが、2013年にピオレ姫路が開業するなど姫路駅前の再開発で店舗間競争が激化。駅から約500メートル北に離れた同店への客足は遠のき、業績が低迷した。15年に創業家が退き、投資ファンドや免税店大手のラオックス(東京都)が経営に参画したが立て直せず、18年2月末で閉店した。

 同店は加古川ヤマトヤシキ(加古川市)が運営する小型店「姫路ヤマトヤシキ」が継承している。

 旧店舗の跡地利用については、ホテル構想が浮上したこともあったが、長らく宙に浮いたままだった。21年に近鉄不動産と大林新星和不動産がラオックスから土地を購入。22年秋に、マンション建設の計画が地元に伝えられた。

 「やっと決まったか」。正式発表を受け、地元の商業関係者らは胸をなで下ろした。姫路御幸通商店街振興組合の浜本卓弥理事長は「集客施設を期待していたのでマンションというのは複雑だが、やっと動き始めてよかった」。姫路商工会議所の齋木俊治郎会頭は「十二所前線以北の商業地にマンションが進出してまちなか居住が進んでいる。観光と住まいという二面的なまちづくりが必要になってきている」と述べた。

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