長崎市伊良林2丁目の若宮稲荷神社(大坪丈夫宮司)の秋の大祭「竹ン芸」が14、15の両日、奉納される。今年は13人の子どもが“子狐(こぎつね)”として出演。このうち小学6年生の仲良し2人組が“最後の舞台”に向けて、毎晩練習に励んでいる。
竹ン芸は国選択無形民俗文化財で、青年や子どもが狐に扮(ふん)し、狐が竹林で遊ぶ様子を表現する神事。
今年で卒業するのは若杉慶次郎君(11)=市立伊良林小6年=と村中弦音(げんと)君(11)=市立桜が丘小6年=。いとこ同士の2人は、2歳の時から一緒に竹ン芸を始めた。デビュー当時は90センチ弱だった身長も143センチまで伸び、大きく成長。新型コロナウイルスなどの影響もあり、4年ぶり6回目の出演だ。
「もっと手を伸ばせ!やり直し!」。竹は乾燥すると折れてしまうため、練習期間はたった5日間。大人たちの指導にも熱が入る。「竹の上はちょっと怖いけど、練習し始めたら大丈夫」と慶次郎君。久々の竹の感触を確かめながら、高さ約5メートルの頂点まで登り、ポーズを決めた。「本番では大の字や逆立ちをやりたい」と汗を拭いながら意気込む。応援に駆けつけた母緒里絵さん(43)は「最後だからさみしい気持ちもあるが、楽しみの方が大きい」と話す。
「竹ン芸に集中するために宿題を全部終わらせてきた!」と自慢げに話す弦音君は、父も兄弟も竹に登っている「竹ン芸一家」。練習後、子狐の大先輩であり兄の奏介さん(16)=県立長崎北高2年=とともに、足だけでぶら下がって体を反る“逆上がり”などを特訓する。奏介さんは「もっときれいに決めてほしい」と期待を込めた。
「高め合える存在よね。良いところを見て自分の演技に生かしよる」。慶次郎君と弦音君は、はにかみながらお互いの関係について話し、本番に向けて気合十分だ。
竹ン芸は14日午後2時と同8時、15日正午と午後3時、同8時の計5回。子狐は1回の奉納につき3人ずつ演技する。