まさか…赤ちゃん産めなくなるのか 血の気が引いた女性“がん”で頭が真っ白、恐ろしさ痛感 一方で検診に行かない人、驚くほど大勢 女性のがん防ぐため、男性にもできることが

がんの早期発見、治療を呼びかける「くまがやピンクリボンの会」メンバー=2日、秩父市歴史文化伝承館

 乳がんの早期発見を啓発する10月の「ピンクリボン月間」に合わせ、NPO法人くまがやピンクリボンの会は2日、秩父市歴史文化伝承館で講演会「乳がん・子宮頸(けい)がんから生命(いのち)を守る」を開催した。同会の栗原和江さん、羽賀登喜子さん、笠原洋子さんが自身のがん体験談を交えながら、検診の重要性や最新のがん事情などを分かりやすく解説。参加者約70人に、「がんは人ごとではなく、身近な病気。がんと共に自分らしく生きてほしい」と訴えた。

 同会は、2007年に乳がんを発症した栗原さんが08年に設立。がんを体験したサバイバーらと共に、講演会や小中学生対象のがん教室などを開き、さまざまながんの正しい知識を広めている。今年のピンクリボン月間は埼玉県秩父市の講演に始まり、福島、宮城、富山、千葉県など各地を巡る。

 講演会で栗原さんは、県内の乳がん検診受診率の低さを指摘。「私も自分の胸のしこりに気付くまで、検診を受けなかった。発症が分かった時は血の気が引き、頭の中が真っ白になった」と体験談を語り、「乳がんは治療が約10年間続く『10年戦争』。家族に大きな負担がかかってしまうので、予防と早期発見を心がけてほしい」と呼びかけた。

 羽賀さんは32歳の時に子宮頸がんをわずらい、「赤ちゃんは産めなくなるのか。仕事はどうしよう」などの不安が駆け巡ったという。「子宮頸がんは異形成の段階で発見、治療できる。大切な人を守るため、女性だけでなく男性もHPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)を受けてほしい」と伝えた。

 講演を聞いた、同市の岡登久子さん(70)は今春に友人が乳がんで亡くなり、がんの恐ろしさを痛感した。「乳がん検診率の低さに驚いた。検診を受けたことがない人が周りにもたくさんいるので、重要性を広めたい」と話した。高校3年の大沢英真さん(17)は「市保健センターの活動に興味があったので参加した。検診もおしゃれの一つと知り、受診意欲が高まった」と笑顔で語った。

 施設などをピンク色に照らす「ピンクリボンライトアップ」の取り組みが、2日から秩父市で始まった。19日まで、秩父公園橋(一般県道秩父停車場秩父公園線)の橋脚主塔がピンク色にライトアップされている。

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