「男として生きている僕の戸籍が男になったというだけ」初の司法判断を受け 申立人のトランスジェンダー男性が会見

手術を受けなくても戸籍上の性別を変更することを認めた初の司法判断を受け、申立人のトランスジェンダー男性が10月13日、会見に臨みました。弁護団は現在、争われている最高裁の決定にも影響を与える可能性があると話しました。

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<鈴木げんさん>
「『嬉しいですか?』と聞かれると、非常に返事に困りました。それは今回のことが男として生きている僕の戸籍が男になったというだけの話だからです」

裁判所に性別変更の申し立てを行っていたのは浜松市に住む鈴木げんさん(48)です。鈴木さんは女性として生まれましたが、自らを男性と認識し、40歳のときに性同一性障害の診断を受けています。

今の法律で戸籍の性別を変えるには生殖腺(精巣や卵巣など)や生殖機能が残っていないことが要件の一つで、手術を受けることが事実上、必須になっています。

鈴木さんは、性別を変更するために体に重い負担がかかる生殖腺除去手術を要件とする規定は人権侵害で憲法違反にあたると2021年、家裁浜松支部に申し立てました。

この申し立てを受け、裁判所は手術を強要することは必要性・合理性を欠くなどとして、この要件を違憲無効とする判断を示しました。

弁護団によりますと、この規定を憲法違反とする司法判断は初めて。決定により、鈴木さんは法律上も「男性」になることが認められました。

<鈴木げんさん>
「たくさんの仲間や子どもたちから大きな一歩ありがとうという連絡をもらっています。僕と同じように、この要件を『おかしい』と思いながらも、法律に従ってオペはするものだという前提で自分の人生を考えてきた当事者たちにとってここで選択肢ができた」

現在、最高裁でも性別変更の要件が憲法違反に当たるかが争われていて、鈴木さんの弁護団は、今回の家裁の判断が最高裁の決定にも影響を与える可能性があると話しました。

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