森保一監督、5試合連続4得点以上の快勝に「なかなか出せる結果ではない」、選手と共にコーチ陣の働きを称賛

ベンチ前で名波浩コーチと話し合う森保一監督[写真:Getty Images]

日本代表を率いる森保一監督が、カナダ代表戦を振り返った。

日本代表は13日、デンカビッグスワンスタジアムで行われたMIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023のカナダ代表戦に臨み、4-1で快勝した。

目下4連勝中と好調を維持するサムライブルーは、開始早々に田中碧のゴールで先制に成功すると、以降はGK大迫敬介のPKストップなどでリードを維持。前半終盤にかけては相手のオウンゴールと、中村敬斗のゴールで畳みかけ、3点リードで試合を折り返す。

後半も立ち上がりに再び田中にこの試合2点目が決まり、試合の大勢を決めた。その後、後半終盤にデイヴィッド・ホイレットに一矢報いるゴールを許してクリーンシートを逃したが、2026年ワールドカップ開催国相手に快勝を収めた。

同試合後、森保監督は「強化となる試合をさせていただけたことに感謝したい。応援してくださったサポーターの皆さん、全国の皆さんに感謝を申し上げたい。ありがとうございました」と、まずは関係各所やファン・サポーターへの感謝の言葉で会見をスタート。その後の質疑応答ではメンバー選考やシステム変更の狙い、評価について説明している。

「まずは誰が出ても勝つ、誰と組んでも機能するということを選手たちが直近と言っても、これまでの戦いとは違うメンバー構成でもトライして、結果を出してくれたこと。そして、試合の中でミスはありながらのお互いの連係連動という部分でクオリティを上げてくれた、チャレンジしてくれたことは、選手たちのチャレンジ・トライを称えたいと思います」

「システムですが、まずは相手がどういう形で戦術を組み立ててくるか分からないという中で、皆さんの前では[4-1-4-1]でスタートとお話しましたが、[4-2-3-1]と3バックにして相手のやりたいことを止める部分を、選手たちが難しい中でいろんな状況に合わせて、戦い方、配置を変えることを賢くスムーズに表現してくれたと思っています」

「変えたことは、相手が3バックで[3-4-3]のような[3-5-2]のような形。1ボランチから2ボランチに我々が変えてというところは、選手がスムーズに自発的に変えてくれたと思います。PKのときに準備していたことをコーチ陣と話してくれて、試合が止まった中で[4-2-3-1]をよりはっきりとして戦ってくれた。まずはミスマッチの中、相手に合わせることではなくミスマッチを我々がより主導権を持って戦えるようにまずやった方が良いということで、ピッチ内のことで選手たちが[4-2-3-1]を選択して実践してくれました」

また、これで5試合連続4得点以上の快勝となった一方、PK献上の部分んも含めて試合全体では苦戦する場面も見受けられた。森保監督は好調を維持する攻撃に手ごたえを感じながらも、攻守両面でのさらなる改善を求める。

「この結果についてはなかなか出せる結果ではないという部分で、素晴らしい結果を選手たちが出してくれていると思います。コーチ陣がアグレッシブにゴールに向かう部分の縦に縦に、前に前に、ゴールに向かって行く攻撃への働きかけと、守備の部分のチャレンジ。コーチ陣が攻撃も守備もアグレッシブにチャレンジすることを選手たちに植え付けてくれて、かつ、システムのかみ合わせも選手たちが前向きに力を発揮できるように伝えてくれていることも大きいので、選手はもちろんですがコーチ陣の働きかけも大きい」

「ただ、これからギリギリの戦いを勝っていくということも忘れずにやっていきたい。力の差がある相手になら毎試合4点取ってもいいと思いますが、協会の方が非常に良い相手とマッチメイクしてくださっている中で、点差では表せないような力関係の強い相手とマッチメイクしている中で結果を出せていることは、自信を持ってさらに高い目標に前進していきたいと思います」

「カナダというチームですが、個々を見るとかなりフィジカルも強くスピードも高さもある選手たちという部分で強敵だったと思います。その相手から4点を奪って勝てたこと。まずは選手の頑張りを称えたいと思います。個々の局面の中でもっと攻撃も守備も上回っていけるように上げてほしいと思いますし、得点のチャンスを作る、決めるところはアグレッシブで良かったが、前半の押されている展開の中で奪ったボールを上手く攻撃に繋げられなかったことは反省点かなと思っています。我々は世界のトップ・オブ・トップを狙うということを考えている中では、もっともっとやり方を考えていく必要があります」

「守備においては1失点、最後に無失点のまま今日の展開であれば勝ち切れるようにしないといけない。選手たちには失点のところにおいてはアルフォンソ・デイビス選手が起点になるということを試合を通してピンチになるところではありました。選手交代をしながら考えて、最後勝ち切ろうと思っていましたが、そこができなかったことはチームとして反省点として、勝ってオーケーではなく、どう勝ち切れるかを攻撃でも守備でも考えたい」

「守備ではケガ人等々、サイドの選手がいなくなって、今日も[4-1-4-1]から始まって[4-2-3-1]になって、試合の中で3バック気味になったり、ポジションもかなり入れ替えてやったので、選手にとっては最後に落ち着いて終わらせることが難しくなったのは、私がいろんな代え方をしたところがあったかなと思います。勝ち切れるように配置を考えながら選手を起用しないといけないと思いますが、色んな試合で試すことも大事。チャレンジした中で選手たちが最後までやり切ってくれたことは間違いなく今後への経験に繋がったかなと思います」

「(前回敗れた相手にリベンジの形となったが?)私が言うまでもなく選手たちが意識して同じ相手に二度負けられないと思ってくれていたと思います。それは試合前の練習に表れていたと思います。今日もホームですし、勝ちたいという気持ちがあったので、選手たちにはホームで去年負けた相手に負けられない、勝ってデンカビッグスワンに来てくださった皆さん、メディアを通して応援してくださった皆さんに勝利を届けようという話はしていました」

また、体調不良で招集辞退となった三笘薫に代わって左ウイングで起用され、チーム3点目を挙げる活躍を見せた中村敬斗については「ケイトについては1試合ごとに成長してくれていると思いますし、チームの戦術をどん欲に吸収しながら自分の良さを出す良いトライをしてくれていると思う。ゴールという結果、ボールに向かってプレーする、ゴールを決めることができるということを示してくれていると思う」と、その柔軟性や向上心を評価。

相手選手との接触プレーで痛めた左足の状態に関しては「ケガについてはこれから精密検査ということで、はっきりとしたことはまた広報のほうから伝えられるかは分かりませんが、左足をねん挫しているということは言えると思います」と、現状での状態について説明した。

また、最前線に浅野拓磨を起用した意図については、上田綺世と迷ったものの、コンディション面や攻守に渡る仕事量の部分で浅野を選んだとしている。

「フォワードの起用については今回の招集で浅野、古橋、今日出番のなかった上田という選択肢を基本考えながら招集させてもらいました。まずは前回の9月のヨーロッパ遠征の中で結果を出した浅野か、上田かなということを考えて、現在の出場時間だったりという部分で、より強度高く攻撃も守備もできて得点に向けた仕事をしてくれるだろうということで浅野を起用させてもらいました」

久しぶりの招集となった中、早速スタメンでプレー機会を与えた中山雄太、南野拓実の2選手に関しては「久しぶりの招集で2人がもたらしてくれたものは大きかった。コンセプトのハードワークをまずはタクミも前線から浴びせて、中山も左サイドから組み立てに参加することで攻撃で落ち着きを持ち、守備でバランスを守るということを賢くハードにプレーしてくれたと思います」と、一定の評価を与えている。

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