ビッグモーター福井店、速度計検査行わず書類に虚偽記載も…民間車検場指定取り消し

民間車検場の指定取り消しと自動車整備の事業停止20日間の処分案が示されたビッグモーター福井店=10月13日、福井県福井市大土呂町

 国土交通省が10月13日に行政処分を科す方針を明らかにした中古車販売大手ビッグモーターの全国整備工場のうち、福井店(福井県福井市大土呂町)は悪質性の高い12工場に含まれ、民間車検場の指定取り消しのほか、自動車整備の事業停止20日間とする処分案が示された。中部運輸局などによると、福井店の車検業務について速度計の検査を実施していない事例のほか、同運輸局に提出する書類の検査年月日に虚偽記載があった。

 車検担当の検査員1人の解任も命令する。同社は福井新聞の取材に対し「処分案の内容を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努める」とした上で、福井店の違反内容などについては「個別の店舗の問題は精査中」と述べるにとどめた。

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 事業停止処分に関しては、点検・整備料金の過剰請求や記録簿の記入漏れなどが理由。同社の外部弁護士が6月にまとめた調査報告書によると、全国の工場では不要な塗装のほか、ハンマーでたたくだけで終わる板金作業に、わざわざけん引器具を使い、工賃を高額にしていたケースもあった。

 同社を巡っては、「ゴルフボールを使って車に傷を付ける」という事例が一時注目されたが、関係者によると、こうしたケースは1件しかなかった。報告書によると、実際は損傷がないのに、車体に矢印の付箋を貼ったり、角度を変えて写真を撮ったりすることで、傷があるように見せかけていた。

 国交省が福井店側の意見を聞く「聴聞」は10月20日午後、名古屋市の中部運輸局で開かれる。聴聞の結果を踏まえて早期に処分を確定する方針。

 県内には越前店(越前市横市町)にも工場があるが、7月の一斉立ち入り検査の対象外だった。同運輸局の担当者は法令違反の有無を精査する考えを示し、「適切に対応していく」とした。

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