赤米保存に向け新組織設立へ 対馬・豆酘地区 サミットに相川七瀬さんも参加

サミットの座談会で、種の保存の必要性などを訴えた歌手の相川七瀬さん=対馬市厳原町豆酘地区

 古代米「赤米」が神事とともに伝承されている長崎県対馬市厳原町豆酘(つつ)地区で14日、赤米伝承地の関係者たちが集まる「赤米サミット」があり、豆酘地区の赤米保存に向けた新組織を設立する方針を確認した。
 豆酘地区は日本の稲作伝来の地とされ、神田で収穫した赤米を俵に詰めて家屋の天井につるし、あがめる神事を「頭(とう)仲間」と呼ばれる住民が続けてきた。現在、継承者は主藤公敏さんのみとなっている。
 2019年以降は主藤さんが療養中のため、神事は休止中。主藤さんの親族らでつくる「赤米頭受(あかごめとううけ)行事保存会」も、ここ数年は休眠状態となっている。
 サミットは、赤米が伝わる対馬市、岡山県総社市、鹿児島県南種子町が14年に協定を結び、持ち回りで開催。14日は3市町長のほか、対馬市赤米諮問大使を務める歌手の相川七瀬さん、住民ら約50人が参加した。
 参加者は豆酘地区で、神事が止まり、雑草が生い茂った神田の現状を視察。座談会も開き、赤米頭受行事保存会の現状などを踏まえ、市内外の有志でつくる保存組織の設立方針を確認した。市教委文化財課によると、神事は担わず、赤米の栽培など種の保存に取り組む組織になるという。
 座談会で相川さんは「1年でも2年でも赤米を地域の宝として残す活動を、地区の皆さんとやっていくことが大事ではないか」と話した。サミットは13日も開き、市中心部で関係者協議などをした。

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