京都の新設公園トイレ横に喫煙所、住民賛否 「子の受動喫煙不安」「ありがたい」

宇治田原中央公園のトイレ(左奥)の隣にある喫煙所=宇治田原町立川

 11月下旬にオープンする宇治田原中央公園(京都府宇治田原町立川)のトイレ横に喫煙所があり、町民から賛否の声が上がっている。公園に喫煙所を設けることは法律上問題ないが、受動喫煙への不安や、たばこのにおいに嫌悪感を持つ人は多い。なぜ、不特定多数の人が利用する場所に設置したのか。町に理由を尋ねた。

 中央公園は町役場庁舎に隣接し、広さは約2ヘクタール。見晴らしがよく、芝生の広場や遊具がある。災害時の拠点にもなり、非常食や毛布を備蓄する倉庫や、かまどとして使えるベンチも備える。

 喫煙所は公園北側のトイレ横。幅3メートル、奥行き3メートルで、パーティションに囲われているが、扉はない。

 2020年4月に全面施行された改正健康増進法では、学校や病院などの敷地内については原則禁煙となった。公園などの屋外施設は規制の対象外で、「周囲の状況に配慮して喫煙する」よう求めている。

 ■「囲いがあっても…」

 公園の喫煙所を巡っては、町民からさまざまな意見が聞かれた。子育て中の女性(32)は「トイレはみんなが使う場所。囲いがあっても、煙が全く漏れ出さないわけではない。子どもが煙を吸わないか心配」と話した。ほかの非喫煙者からは「要らない設備」「公園を全面禁煙にして」との厳しい声もあった。

 一方、喫煙者の男性(75)は「喫煙所が減って肩身が狭い中、ありがたい。ないと困る」と感謝する。ただ場所については「もう少し人が来ない所にしてもよかったのでは」と疑問を呈する。

 ■町は「ポイ捨て抑止や分煙意識の向上」

 町は、喫煙所を設置した理由について、「吸い殻のポイ捨て抑止や分煙意識の向上につなげるため」と説明する。町内の別の公園では、たばこの吸い殻が捨てられている事例があるという。「中央公園は防災機能を持つ施設。避難住民が集まる可能性があり、喫煙者を排除することはできない」とする。

 設置場所については「他に場所がなく、やむを得なかった」とする。芝生上や遊具付近は防火や受動喫煙防止の観点から避けた。公園に隣接する駐車場に設ける案もあったが、「目立たない場所にすると、気づいてもらえず利用されない可能性がある」と考え、トイレ横を選んだという。

 ■「煙が外に出ないタイプ」町民から要望も

 また、町民からは「煙が外に出ないタイプにしてほしい」という要望も聞かれた。国は同法施行に先立つ18年、屋外に喫煙所を作る際には煙が容易に漏れない構造にするよう都道府県などに配慮を求めた。コンテナ型や進路を方向転換させるクランク型などを例示するが、町は「形状や機能の議論には至らなかった」(担当者)という。

 喫煙者への世間の風当たりは強い。内閣府が22年に実施した世論調査では、18歳以上の83%がたばこの煙を不快に感じ、59%は屋外喫煙所を減らすことを求めた。町は「喫煙所の賛否が分かれるのは承知している。ただ、分煙を誘導して受動喫煙を防止する目的もある」と理解を求めている。

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