「インパクトの形」描いたことありますか? レッスンの最前線からLIVE中継

これからお届けするレッスンのやり取りは、感覚論とは無縁の科学目線の世界。最新技術を使ったいまどきのコーチたちのリアルなレッスンの一部始終をレポート。人の振り見て我が振り…直せます。

ドライバーもアイアンもインパクトが安定しないのが悩みの横田さん(ゴルフ歴2年半/30代、男性/平均スコア120前後)

ゴルフを始めて2年以上経つが、スコアはいまだに120前後という横田隼(よこたはやと)さん。ボールの頭を叩く大ミスが多いが、それを嫌がってのダフリも出る。とにかくインパクトが安定しないのが悩みだという。

スイング解析で見つけた「当たりが安定しない」原因

ツアープロ(写真右)と横田さん(写真左)のインパクトの形を見比べると腰と肩の開きに違いがある

まずは問題の原因を探るべく、仲本心一郎(なかもとしんいちろう)コーチがスイング解析を実施。いくつかある問題点のうち、特に重要だと判断したのは、ダウンスイングからインパクトにかけての回転不足だ。「横田さんのインパクト時の体のポジションを見ると、腰が『15度』、肩が『17度』オープンな状態。これに対し、ツアープロの平均値が『腰42度』、『肩32度』オープン。横田さんは腰も肩も左への回転量が決定的に不足していいます」と指摘する。

「回転が不足することで、体が止まり手でボールに当てにいってしまっています。これではインパクトが安定せず、再現性は低くなります」と不安定なインパクトを生む仕組を解説した。

スイングの「目的地」意識したドリル

理想的なインパクトをイメージすることで、リアルとのギャップを理解することが大切と仲本コーチ

そこで仲本コーチは、「インパクトのイメージ作り」からレッスンをスタートした。体がしっかりと回った結果、どんなインパクトになるのかの「目的地」を共有するのだ。横田さんに自身のイメージでインパクトの形を作ってもらい、そこから仲本コーチが肩と腰の向きを修正。ツアープロと似たような形を再現した。

「腰が『40度』、肩が『30度』くらいオープンになった理想のインパクトをまず静止状態で作り、『ここまで回っていいんだ』というギャップを知ってもらいたかった」とそのドリルの意図を仲本コーチは説明した。

横田さんにしてみれば、自分のインパクトよりもだいぶ多く回っている状態。しかも、従来の横田さんのインパクトは腰より肩のほうが開いていたから、修正後のギャップは相当大きいはずだ。「どう振るかよりも、先に理想の形を体で知ってもらい、そのインパクトに達するためにはどう動けばいいかを自分でイメージしながら動いてもらうことが有効」と仲本コーチは判断した。

ポイントはインパクトの形を作り、そこからバックススイングを開始する

さらに、仲本コーチが横田さんに行ったのは、イメージをスイングに結び付けるために、段階的に振り幅を大きくする素振りの指導だ。

まずはアドレスの形からバックスイングせずにインパクトの形を作る。次に、シャフトが地面と平行になるまでの小さなバックスイングを挟んで、アドレス→インパクト→バックスイング→インパクトの素振りを繰り返す。慣れてきたらバックスイングの振り幅を腕が地面と平行になるくらいまで大きくして、同じ素振りを行い、ダウンスイングの動きを身につけていく。そして最後に、インパクトで止めずにフォローまで振る素振りで、スイングのイメージを整えていくという3段階の素振りだ。

レッスン前(写真左)とレッスン後(写真右)の比較。インパクトでの腰の回転量に変化が見られた

「こうやって腰が大きく回ったインパクトを目指すと、ダウンスイングの切り返しが手や上半身から動いたのでは間に合わないことが、体で理解できます。その結果、自然と下半身先行の切り返しが身につき、体の回転量も増えていきます。形から入って、そのための動きを自分で模索してもらうのもときには有効です」(同コーチ)

素振りを繰り返してから球を打ってもらったところ、次第にインパクトで腰が「25~30度オープン」まで改善されてきた。まだ腰よりも肩が開いてしまうクセは抜けず、腰の回転量ももっと増やしたいところだが、ファーストステップとしては上々だと仲本コーチは背中を押す。

レッスン後の横田さんのスイング 振り抜きがスムーズになったと語る

まだ体に染みついていないので再現性は低いが、「目指すべきところはイメージできたました。振り抜きもスムーズになってきた」と横田さんも好感触を得たようだ。

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