気になる“熟年離婚”のその後…元夫婦たちの末路 #3「新たな“足かせ”」

熟年離婚を選ぶ人は、人生の区切りで離婚を思い立ったり「その日」を待ち望んで準備を続けていたり、事情は本当に人それぞれです。

問題なのは離婚後の生活で、生活費や住むところ、両親との関係など、結婚していたら直面することのなかった現実が襲ってきます。

熟年離婚したそれから後、元夫婦たちはどんな人生を送っているのか、実録でお伝えします。

「妻とはいわゆる性格の不一致で離婚しました。

仮面夫婦みたいな状態で家ではずっと会話もなく、一人娘との関係もギクシャクしていたので、進学で県外に行くと決まったときには、心のどこかで『やっと自由になれる』と思う自分がいました。

離婚を切り出したら妻はすんなりOKして、娘から文句を言われることもなく離婚。娘の学費や仕送りなどは卒業まで折半する約束です。

両親が農家をしていて家が広いため、離婚後は実家に戻りましたが、父親に『今頃になって離婚とか、男として恥ずかしくないのか』と何度も言われたのがショックでした。

それでも時間がある週末は畑仕事や家事を手伝っていますが、両親から『跡を継いでほしい』と言われて困っています。

自分は15年今の会社にいて、仕事に責任があるし部下もいます。

退社は定年しか考えておらず、50歳手前の今から農家に転身するのは考えられなくて。

そう言うと、父親は『離婚なんかして親に恥をかかせたのだから、せめて役に立て』とひどい言葉を返してきて、今は実家を出ることを計画中です。

せっかくスムーズに離婚できたのに、こんなところで新しい足かせをはめられるなんて、冗談じゃないです」(男性/48歳/人事)

離婚を恥とする価値観を持つ人はいまだ多く、それが親になると事情をいっさい無視して責めてくるのがつらいですよね。

そのうえで家業を継ぐことを一方的に求められても、これまで歩んできた人生を選ぶのは当人の自由であり、親であっても強制はできません。

離婚が叶っても身近な人との関係がこじれてしまうのは新しいストレスであり、年老いた両親の状態を考えれば、適度な距離感を見つけるのが今後の課題といえます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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