夢乗せた風船300キロ先の栃木に届く 岐阜の小1「スポーツカーでレース勝ちたい」 車好きのナシ農家「にっこり」プレゼント

黒田さんが拾ったカード。「スポーツカーにのってレースにかちたい」と書かれている(黒田さん提供)

 「スポーツカーにのってレースにかちたい」。栃木県栃木市岩舟町静和、梨農家黒田剛(くろだごう)さん(23)が、こんな夢が記された風船を拾った。風船は岐阜県の小学1年生が飛ばしたもの。自身も車好きという黒田さんが驚きと感動からX(旧ツイッター)に「君の夢を載せた風船が俺のところに届いたぞ」と投稿すると、瞬く間に拡散し、大きな反響を呼んだ。その後、学校や男子児童の両親と言葉を交わした黒田さんは「同じ車好きで運命を感じた」と話している。

 風船の送り主は岐阜市長良東小の1年加藤亮介(かとうりょうすけ)君(6)。9月30日、創立50周年を迎えた同校の運動会で、児童がそれぞれの夢を紙に書き、風船に付けて飛ばした。紙や風船は土に返る素材だという。

 風船は直線距離で約300キロ離れた場所へたどり着いた。黒田さんは今月3日朝、自宅近くの用水路に落ちていた風船を見つけた。昨年まで自動車関連の仕事に就き、現在も車好きの黒田さんは風船の写真を添えてXに投稿した。「スポーツカーに乗る夢叶えてくれよ。主催元にこのツイート届いたらいいな」などと投稿すると、約10万の「いいね」が付く反響ぶり。「すてきな話だ」「風船ってこんなに遠くまで飛ぶんだ」などのコメントが寄せられた。

 その後、Xの情報を同校関係者が知り、加藤君の両親と電話で連絡を取ったという。黒田さんと加藤君の好きな車は「日産GT-R」という共通点も見つかった。同校からは「児童の夢を応援してくださる方が離れた栃木県にいることに感激しました」などと書かれたはがきが届いた。

 黒田さんは「本人も両親もとても喜んでくれていた」と話し、お礼に旬を迎えている梨「にっこり」5キロを贈ったという。

黒田さんが拾った風船
風船を拾った黒田剛さん

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