自治体で相次ぐ返礼品「値上げ」 体温計にプロテイン…背景にふるさと納税ルール厳格化

向日市が返礼品として提供しているオムロンの血圧計。10月から寄付額を6万円から6万2千円に引き上げた(ふるさとチョイスホームページより)

 ふるさと納税のルールが10月から厳格化されたことを受け、返礼品の寄付額を引き上げたのは京都府内で5市町あり、引き上げを予定または検討しているのは10市町村に上ることが京都新聞社の調査で分かった。返礼品などの経費を寄付収入の50%以下に抑える算定方法の変更で、全国的にも寄付額の「値上げ」に踏み切る市町村が相次いでおり、自治体から収入減を心配する声も出ている。

 ふるさと納税では返礼品の調達や送料、仲介サイトに支払う手数料などが経費となる。これまでも経費を寄付金の50%以下に抑える制限が設けられていたが、総務省は6月、確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の事務費や寄付の受領証明書の発行費なども経費に含める新基準を決めた。寄付金を自治体の財源としてより多く残すことが目的で、違反した場合は指定取り消しなどペナルティーが課されることもある。このため、旧基準で寄付額の半分近くを経費に使っていた自治体では、寄付額の引き上げや返礼品の縮小が相次いでいる。

 京都新聞社が府内26市町村に聞き取ったところ、10月1日に寄付額を引き上げたのは、向日市、京田辺市、南丹市、和束町、精華町の5市町あった。

 向日市は全109品目のうち、約7割の76品目で平均3%引き上げた。人気のオムロンの体温計は1万円から1万3千円に、血圧計は6万円から6万2千円に引き上げた。市担当者は「一つでも経費率が5割を超えたら取り消しになるかもしれないと思い、入念に点検した」と話す。

 京田辺市は全約120品目のうち、16品目で500円~6千円上げた。内容量は違うが、すべて飲料タイプのプロテイン。重さのため配送料が高くつくことから、引き上げを決めたという。市は「運送会社から送料アップの相談があり、さらなる引き上げもあり得る」と話す。南丹市もペットボトルの茶など2品を最大3千円上げた。

 和束町は72品目のうち19品目で千円~5千円上げた。和束産宇治茶を使ったフィナンシェの「食べ比べセット」は4千円から7千円に。町の担当者は「人気返礼品だっただけに、寄付額引き上げで敬遠されないか心配」と不安を口にした。精華町も約130品目のうち約7割の品を引き上げの対象とした。

 今後の引き上げを「予定している」「検討中」などとしたのは福知山市、舞鶴市、宮津市、城陽市、京丹後市、大山崎町、宇治田原町、南山城村、伊根町、与謝野町。舞鶴市の担当者は「一律に寄付額の引き上げではなく、内容量を減らす可能性もある」と話した。

 総務省は「制度本来の『ふるさとを応援する』という趣旨に近づけ、自治体の独自の施策に寄付をしっかり活用してほしい。ご不便をかける面もあるが理解いただきたい」としている。

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