ボディービル日本一に 大村市の森下さん「家族の支え、職場の理解に感謝」 初挑戦で栄冠! 長崎県

自宅に設けたジムで喜びを語る森下さん=大村市須田ノ木町

 長崎県大村市須田ノ木町の消防士、森下賢成さん(31)が今月、「第67回全日本ボディビルディング選手権大会」に出場し、日本一に輝いた。初めて挑戦した全国の舞台で獲得した栄冠。「家族のサポート、職場の理解が大きかった」と感謝の思いを語った。
 森下さんは諫早消防署高来分署に勤務。ボディービルは知人の紹介を受け2017年から始めた。
 大会は全日本ナチュラルボディビルディング連盟が主催。検査を受けドーピングしていないことを証明された選手だけが出場できる。森下さんは8月の九州オープンで優勝し、地区代表として参加した。
 本番までは食事制限の毎日だった。サプリメントは一切服用せずに野菜中心の食事を取り、減量が停滞するとわざと炭水化物を多めに取るなど工夫を続けた。ただ「4歳の長女が『これあげる』とくれたものも食べられないのがつらかった」と振り返る。仕事から帰ると自宅に設けたジムで筋トレ。家族が寝静まった明け方にこっそり起きて、よりよいポージングのために試行錯誤した。
 今月1日、神戸市の会場には妻と長女も応援に駆けつけた。ステージに立つと、森下さんの選手番号を叫ぶ娘の声がはっきりと聞こえた。決勝は1人90秒のフリーポーズ。音楽のタイミングに合わせ練習の成果を出し切った。緊張はしたが、自信があった。
 極限まで絞り上げた肉体美が評価され、つかみ取った日本一。優勝を告げられた時「やっと終わった。これで普通の生活ができる」と思った。妻は「好きなものを食べに行こう」と言ってくれた。それでも「いざ減量シーズンが終わると、この体を維持したい、もっと頑張ろうと思ってしまう。人間って何なんだろう」とほほ笑む。
 日本代表として、今度は世界への切符をつかんだ。仕事の都合で今年の世界選手権への出場は見送り、来年以降の挑戦を見据えている。再び鍛錬の日々となるが、周囲の理解、そして「やればやっただけ結果が出る」ボディービルという競技への信頼が、森下さんの努力を支えている。

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