世界最高級のプラネタリウムに 10億個の星で天の川も 県子ども総合科学館で25年秋公開

県子ども総合科学館のプラネタリウムの投影イメージ(県提供)

 10億個以上の星で美しい天の川を再現-。栃木県子ども総合科学館(栃木県宇都宮市西川田町)の改修工事に伴うプラネタリウムの更新で、世界最高級の性能を誇る機器が導入されることになった。精緻で臨場感あふれる星空に加え、県内25市町の町並みも映し出せるようにする。公開は2025年秋の予定で、県は県内外からの集客につなげたい考えだ。

 1988年オープンの同館は老朽化が進み、改修工事のため2024年1月〜25年9月末の屋内施設休館が決まっている。県は計約33億円をかけて全面改修する方針で、このうちのプラネタリウムの更新を目玉事業に位置付けている。

 更新では公募型プロポーザル方式で提案を募り、現在のプラネタリウム設備も手がけた五藤(ごとう)光学研究所(東京都府中市)を選定した。契約金額は約6億円。

 県県民協働推進課によると、同社の光学式プラネタリウム機器と全天周デジタル映像システムを導入する。約10億3千万個の星を投影することでより本物に近い星空が再現できるといい、同課の担当者は「1等星から6等星までの明暗差も表現できる」と説明する。

 00年を基準にした前後計200万年間の星空を再現することも可能なほか、「栃木らしさ」を出すために25市町の昼景から夜景への変化も投影できるようにする。

 ゆとりを持って鑑賞してもらうため、座席数を現在の295席から180席程度に減らし、車いす利用者用のスペースも設ける。

 同課は「子どもから大人まで楽しめるプラネタリウムにしたい。仕事終わりに鑑賞してもらえる機会も検討する」としている。

 同社の同じプラネタリウム機器を、大阪府東大阪市の施設が4月に導入。22年12月の更新で別会社の機器を導入した横浜市の施設は、約12億個の星を投影可能としている。一方で仙台市や富山市、浜松市、三重県松阪市の施設も22年以降に設備更新したが、投影する星は約1億個としている。

 県子ども総合科学館のプラネタリウムは当初は年間12万人が利用したが徐々に減少。新型コロナの感染拡大した20〜21年度は1万〜2万人台にとどまり、22年度は約4万5千人だった。

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