台湾の黒マグロ最高!羅東(ルオドン)朝市は絶対行くべし【台湾食べ歩きの旅 #7】

【台湾食べ歩きの旅 #7】羅東民生市場のメインビル。食材店とその他のテナントの複合施設になっていて、常に混雑している

一週間あれば列車であちこち途中下車しながら一周できる台湾。時計回りに台北→礁渓→南下し、3つ目の下車駅、羅東で朝市散歩を楽しむことにする。

【写真】カフェもおしゃれ!羅東(ルオドン)のおすすめグルメ

目移りする朝市散歩

初めて訪れた街、羅東(ルオドン)の朝市で豆乳と椿香餅を買ったが、もう少し何か食べたくなって、そのまま羅東民生市場をぶらぶらする。

道の両脇に雑貨や果物店が増えてくる。狭い車道にせり出すようにして品物が並び、バイクが停められ、その中を地元の人たちが買い物袋をぶら下げて歩いている。

朝市にはたいてい2、3階建ての建物があり、屋内で鮮魚や鮮肉などを扱っている。その建物の周囲に野菜、雑貨、朝食などの店がずらりと軒を連ねている。

【台湾食べ歩きの旅 #7】羅東のある宜蘭(イーラン)県は野菜全般が美味しいことで知られている。なかでもネギは格別。三星葱というブランドのネギが有名

雑貨や衣類に混じって、果物店が目に入る。店舗を構える店もあれば、トラックのそばにテーブルを組み立てて、その上にマンゴーやパイナップルを積み上げる店もある。値段はダンボールの切れ端に黒いマジックで走り書きしてある。

【台湾食べ歩きの旅 #7】道端に置かれた品物や乱雑なバイクの停め方、人の流れなどから、近くに市場があることがわかる

果物店の次は野菜を扱う店が増えてくる。おばちゃんが道端にいくつもカゴを並べ、パラソルの下で葉野菜を売っている。

マグロの刺し身に釘付け

【台湾食べ歩きの旅 #7】羅東は台湾東北部の港に近いため、市場でも魚介類が豊富

市場の中心に近づくにつれ、惣菜や鮮魚を扱う店が増えてくる。こうやって市場の建物の周辺を歩きながら、糸をたぐるようにして中心となる建物を捜すのはなかなか楽しい。

人やバイクの流れに乗って進んでいると、徐々に人や店の密度が高くなり、目の前にピンク色の大きな建物を見つける。これが羅東朝市のメイン棟らしい。大きな入口が人やバイクを飲み込んでいる。

【台湾食べ歩きの旅 #7】朝市のそばの店舗で魚をさばくおばちゃん

そこから半地下に入ると鮮魚や鮮肉の売り場が整然と並ぶ。台湾の朝市では、たいてい肉を扱う店が一番いい場所にあるのだが、羅東は魚介の店も幅を利かせている。

海鮮海苔巻きを扱う店の前に行列ができていた。朝ごはんに海苔巻きも悪くない。その向かいの店を見ると、清潔感のある陳列棚の中にさまざまな部位のマグロが冷やされている。

赤身、中トロ、大トロ……希少な部位もありそうだ。朝から刺し身? ちょっとためらったが、こんなにきれいなマグロの陳列を素通りできる日本人は少ないだろう。

マグロ店に立つおじさんに、「一人前だけ買いたい」と言うと、部位を選べと棚を指さされた。せっかく台湾でみごとなマグロにお目にかかったのだ。大トロを奮発しよう。

【台湾食べ歩きの旅 #7】「阿堅生魚片専売店」の店舗でいただく大トロの刺し身。ちゃんとツマやわさびも出してくれる

おじさんは上機嫌で一人前のマグロに包丁を入れる。「市場の外にきれいなテーブルがあるよ」と、切り分けたマグロをパックに入れようとするおじさんに、「ここで食べたい!」と言うと、お皿と割り箸を出してくれた。

大根のツマにマグロを並べ、プラスチックの椅子を置いてくれる。台湾だからこそ許される、市場の野趣ある特等席。通り過ぎる客の目線を浴びつつ、おじさんがマグロを切るまな板のそばに腰掛ける。

大事なことを聞くのを忘れていた。「おじさん、これどこのマグロ?」

すると意外にも、おじさんは海のほうを指さして「南方澳(ナンファンアオ)の新鮮な黒マグロ」と胸を張る。

台湾でこんなにいい黒マグロが水揚げされるなんて知らなかった。ワサビ少しと醤油をつけて、みずみずしいマグロを口いっぱいに頬張る。

日本のマグロにまったく引けを取らない、旨味が濃厚な刺身だ。朝から日本酒が飲みたくなってしまった。

【台湾食べ歩きの旅 #7】羅東にはおしゃれな場所もある。駅前には小洒落たカフェも

(つづく)

(うまいめし/ 光瀬 憲子)

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