一昨年110敗からNLCSへ ダイヤモンドバックスに何が起こったのか

フィリーズとダイヤモンドバックスが対戦するナショナル・リーグのリーグ優勝決定シリーズは日本時間10月17日にスタートする。昨季のリーグ王者であるフィリーズはともかく、2021年に110敗を喫したダイヤモンドバックスがこの舞台に立つことを予想できた人はそれほど多くないのではないだろうか。100敗シーズンの2年後にプレーオフ進出を果たしたチームは、2015年アストロズ、今季のオリオールズとダイヤモンドバックスの3チームだけ。この2年間でダイヤモンドバックスに何が起きたのだろうか。

ダイヤモンドバックスのマイク・ヘイゼンGMは110敗を喫した2年前のシーズンを振り返り、「たまたま110敗もすることはないから、かなり多くの不安があった。そもそも、あのシーズンはタンキングをしていたわけではない。勝とうとしていたし、競争力のあるチームを作ることができたと思っていた。負けるつもりで110敗したわけじゃなかったんだ」と語る。トーリ・ロブロ監督はその年、眠れない夜が多く、自分が正しいと信じてきたやり方を疑ったこともあったという。ヘイゼンGMもケン・ケンドリック・オーナーも「何か変化が必要なのでは」と思わずにはいられなかった。

デリック・ホール球団社長が「我々は変化を起こすこともできた」と語るように、ダイヤモンドバックスには監督やGMを交代させるという選択肢もあった。しかし、ヘイゼンGMは「悪いのは自分であって、ロブロ監督には責任はない」と主張し、ケンドリック・オーナーも同意見だった。結局、ホール球団社長は「適切な人材が配置されている」という結論に至り、「今年、それが正しかったと証明されたと思う」と微笑んだ。

ダイヤモンドバックスはロブロ監督を解任するのではなく、ロブロ監督を支えるコーチングスタッフを強化するという選択をした。アストロズの投手コーチを勇退したばかりのブレント・ストロムを説得して投手コーチとして招へいし、レンジャーズで監督経験があるジェフ・バニスターをベンチコーチに加えた。他にも打撃コーチと投手コーチのアシスタントを増やし、ロブロ監督をサポートする体制を整えていった。

また、当時のダイヤモンドバックスはマイナー組織に多くの有望株を抱えていた。アレック・トーマス、ドレイ・ジェイムソン、トミー・ヘンリー、ライン・ネルソン、ブランドン・ファートといった選手たちだ。そして、最大の注目株はもちろんコービン・キャロルである。彼らがメジャーに到達するとともに、チームの成績も向上し、昨季は前年から22勝アップの74勝88敗を記録。キャロルが大活躍した今季は84勝78敗とさらに成績を向上させ、第6シードでプレーオフ進出を勝ち取った。

ロブロ監督は「我々はナ・リーグのトップチームの1つだ。それは運が良かったからではない。信頼できるグループであり、毎試合戦う準備ができているからこそ起きたことだ」と誇らしげに語る。ワイルドカード・シリーズと地区シリーズをいずれもスイープで突破したダイヤモンドバックス。その勢いがどこまで続くか注目だ。

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