高まるワイン生産熱 岩手県内のワイナリー、10年前の4倍以上に

12月のオープンを見込むKOTOワイン盛岡の醸造所で「地域のシンボルにしたい」と語る吉田千尋さん=盛岡市乙部

 岩手県内でワイナリーが増えている。現在は10年前に比べて4倍以上となり、製成数量は全国5位にまで伸びた。県のサポートもあって6次産業化や新規参入が広がり、新たに滝沢市など3市町で醸造所が誕生する見込み。事業者や自治体が輸出を見据えてスクラムを組む動きもあり、「イワテ」産の果実酒を国内外に発信する態勢が整ってきている。

 真新しいタンクが並ぶ醸造所。盛岡市乙部の「KOTOワイン盛岡」は12月のオープンを見込み準備が進む。離農によって畑が耕作放棄地に変わる現状を打破しようと、地元で福祉施設を営む吉田ひさ子さん(64)、長女の千尋さん(33)がワイナリーへの挑戦を決めた。

 2018年にブドウ栽培を始め、県主催の研修会や県内外の醸造所で知識と技術を習得した。21年に会社を立ち上げ、就労継続支援B型事業所で働く障害者の力を借りながら約2ヘクタールの畑を管理している。

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