【リニア】山梨で初のトンネル貫通も…静岡工区はこう着状態 残土置き場の環境影響について静岡市長は「問題ない」との見解

リニア新幹線をめぐり、JR東海は先週、山梨県内で掘削を進めていた「トンネル」の1つが初めて貫通し式典を開きました。一方、静岡市の難波市長は、工事で出た残土を運ぶ発生土置き場について、環境影響へ「問題はない」との見解を示しました。

リニア新幹線をめぐり。10月13日、山梨県内で行われたのは…。

「大きな音とともに、最後の貫通作業を行っています」

リニア新幹線で使用するトンネルの貫通式。今回、貫通した第一南巨摩トンネルは全長、約710m。2022年3月から掘削工事が始まっていました。実験線を除き、品川ー名古屋間のリニア本線でトンネルが貫通したのは、初めてのことです。

他県で、着々とリニア新幹線開業に向けた工事が進む一方で、川勝知事は、静岡工区の着工に向けた議論の現在地を問われると…。

(川勝知事)

「1合目よりは少し進んだ。納得できるところまでもっていくように、私たちも協力する、JR東海に国交省からしっかり指導を願いたい」

解決に向けて時間がかかる認識を示しました。それに対し、JR東海の丹羽社長は、議論を加速させるため、今後、トップ会談を行う意向を示しました。

(JR東海 丹羽 俊介 社長)

「現時点で会談の予定はないが、適切な時期にお会いしたいと考えている」

一方、リニア問題をめぐり、県と静岡市で意見が分かれているのが、トンネル工事で出た「残土置き場」についてです。

先週開かれたリニア工事に関する静岡市の協議会では、JR東海が残土の大半を盛り土する計画を示している大井川上流の「ツバクロ」について、市と委員が議論を交わしました。その中で、難波市長は、深層崩壊が発生した場合にツバクロの盛り土が土砂災害を増大させるものではない」として「大きな問題はない」との見解を示しました。これに対し、委員からは、「盛り土の一部分が削られた際、全体の崩壊に繋がるリスクについてさらに調査するべき」などの意見が上がりました。

(静岡市 難波市長)

「ツバクロについて、次回で最終的な結論を出したい、市としての見解をまとめる段階」

静岡工区の早期着工に向けて課題が山積し、こう着状態となっているリニア問題。今後、県と静岡市、JRの議論がどのように進んでいくのか注目されています。

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