傷心から再起へ 舞華がスターダムタッグリーグ快勝発進 メーガンとは「何も気を使わなくて大丈夫」

スターダムの最強タッグチーム決定リーグ戦「ゴッデス・オブ・スターダム」が15日、東京・大田区総合体育館大会で開幕。前評判の高い舞華&メーガン・ベーン組は壮麗亜美&レディ・Cを相手に快勝発進した。メーガンが6分27秒、F5からの片エビ固めでレディをフォール。今夏の5☆STAR GPで涙の準優勝に沈んだ舞華に、明るい表情が戻って来た。

チョップを軸とした打撃戦、タックルの肉弾戦で挑んできた相手組に手を焼くも、組み合ってのパワー合戦では力が上だった。ブレーンバスターの競演で流れをつかむと、舞華が肩車したレディを、メーガンがポストからダイビングラリアットを決め、最後はメーガンの旋回式フェイスバスターで決着をつけた。

引き上げてきた舞華は「いろいろあったけど、メーガンと組めて良かった」としみじみ語り、英語で「あなたは素晴らしいパートナー。一緒に戦うのがこれからも楽しみ」と信頼を口にした。メーガンも「素晴らしいパートナー。最高のチーム。他のチームにチャンスはない」と呼応した。

舞華は今夏の5☆STAR GPの優勝決定戦で鈴季すずに敗北。号泣しながら絶望感を口にし、その後の試合でも引きずった。そんな舞華に歩み寄ったのがメーガンだった。6人タッグで共闘したことはあったが、新たに組み立てた力をタッグ最高リーグ戦で発揮した。肩車からダイビングラリアットへの合体技はインパクトを残したが、舞華は涼しい顔で「少しやってみる?って声をかけただけでした。特別な練習はしていません」と語った。

メーガンとの相性を「あうんの呼吸というか、何も気を使わなくて大丈夫。人を持ち上げるときのタイミングや、ここに来るだろうというポジショニングが、手を取るように分かる。自分の感覚とメーガンの感覚が一緒になっていた」と説明した。舞華のタッグパートナーといえば、かつてゴッデス王座に君臨し、今年4月に現役を引退したひめかが思い浮かぶが「メーガンのデカくてパワフルな面はひめかより上。そしてひとつひとつの動きがカッコイイしスキルがとても高い」と語った。

リング外の面でも信頼を寄せる。他の海外選手も交えて、英語が中心に飛び交う飲食店で食事を行った時のことだ。「私は英語が全然話せないんですけど、私がひとりでポツンとなっている時はすぐに『舞華』と声をかけてくれるんです。視野が広い、そういった優しさがあります」と話し「ひめかは優しくて厳しいところがありました。もちろん誰でも最初はどんな人か分からないけれど、私はリスペクトできる人をパートナーに選んできました。メーガンに対しても、私の人を見る目は間違っていなかったと思う」と、手応えを口にした。

パートナーを肌感覚で選んできたのは、自身のプロレス観にも通じるものがある。実業団に所属する柔道選手から転身し、2019年にTAKAみちのくにスカウトされJUST TAP OUTに入門。翌年にスターダムに移籍し、トップ戦線で存在感を示し続けてきた。

柔道をベースとした多くの得意技を操るが、男子のアマレス出身レスラーのようなリフト技、大きな弧を描くブレーンバスターなどのパワー殺法でも会場を沸かせている。柔道時代は階級によって払い腰などのパワー系、テクニカルな背負い投げを使い分け、臨機応変なスタイルだったという。新しい技や動きは、閃きとファンの反応を起点にする。

「トップに立つためには、自分に合ったもので、相手にダメージを与える技が必要。スターダムには柔道出身者が多いので、他と同じ技を使っていてもダメ。取捨選択が大切だと思う。他を参考にしたり、助言を求めることはなくて、ちょっとやってみようかな、という感じで始めることが多いですね。お客さんの反応が良ければ使っていく。同じ技でもタイミングや的確さが変わるだけで、反応が違うところも面白い。ブレーンバスターは全然練習していなかったのに使ってみたら『舞華のブレーンバスターはスゴイ』と言ってもらって、続けるようになりました。全てはお客さん次第ですね」

センスと感性、そして客席の反応を大切にする舞華。5☆STAR GP準優勝の悔しさは、次の挑戦への糧とする。まずは今タッグリーグ戦で、信頼を寄せるパートナーと大暴れするだけだ。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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