「撤回となれば大学の名誉、信頼が大きく失われる」浜松側“合意白紙論”に反発…静岡大学内で意見割れる 浜松医科大との統合・再編めぐり

静岡大学と浜松医科大学の統合・再編問題に暗雲が立ち込めています。「1法人2大学」とする合意書をめぐり、静岡大学の学長が事実上、白紙に戻すことを視野に入れていることについて、同じ静岡大学の浜松キャンパス側は10月16日、反対する会見を開きました。

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<静岡大学 川田善正理事>
「わたしたちは合意書の白紙撤回に断固反対し、合意書に基づく統合・再編の早期実現を求めるとともに、浜松キャンパスの目指す将来と浜松キャンパスの意見の尊重を強く求めたい」

16日開かれた静岡大学浜松キャンパスの緊急会見。

<静岡大学 福田充宏工学部長>
「『1大学2校制』を進める、あるいはそれによって浜松医科大学との統合が白紙撤回になる、そういった場合には、静岡大学の社会的な名誉・信頼、こういったものが大きく失われ、それらの回復が必要になると考えています」

静岡大学と浜松医科大学の統合・再編問題をめぐり、合意書を事実上、白紙に戻す動きに強く反発しました。

静岡大学と浜松医科大学の統合・再編をめぐっては、2019年に両大学が法人を1つに統合した上で、静岡と浜松に2つの大学を再編する「1法人2大学」案で合意書を交わしました。

しかし、2022年、静岡大学の日詰一幸学長が合意内容とは異なる2つの大学を完全に1つにする「1法人1大学」案を提案し、当時の浜松市長から猛反発を受けました。

代替案を出す必要に迫られた静岡大学側は、2023年に入り、1つの大学に独立性のある2つの分校を置く、「1大学2校」案の検討を始めました。

また、静岡大学側は「静岡大学」という名称の変更や大学本部を浜松に移転することも検討しています。

関係者によりますと、10月4日に開かれた学内会議では、日詰学長の見解として「1つの総合大学を2つに分けることは望むものではない」とする文書が配られ、「1大学2校」案の議論を進める方針が示されたということです。

さらに、浜松キャンパス側によりますと、10月18日に開かれる予定の静岡大学内の評議会では、合意書の白紙撤回も視野に入れた上で、静岡大学としての案を固める方針だということです。

<静岡大学 川田善正理事>
「一度、やはり、今回のような形で白紙撤回してしまったら、浜松医科大学と今後このような協議を続けるのは、非常に難しいだろうなと思っています」

静岡大学の浜松キャンパス側は、次の評議会までに合意書に基づいた議論を進めるよう求める声明を学内に向けて発信する方針です。

浜松医科大側からも「1大学2校」案に反発する声があり、意見を集約できる見通しは立っていません。

今回、浜松キャンパス側が記者会見を開いたことについて、静岡キャンパス側は「学内で合意を得られるように協議をしている中で、このような記者会見が行われたことは大変遺憾だ」とコメントしました。

また、「白紙撤回」については、「浜松医科大学側から白紙撤回についての言及はあったが本学から申し上げたことはない」としています。

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