●健康づくりきっかけに
小松市小寺町の上出耳鼻咽喉科医院の院長、上出文博(みちひろ)さん(72)は毎朝、JR小松駅周辺でごみ拾いを続け、今年で16年目となる。ごみ袋を手に約1時間。健康のために始めたが、今では「これをしないと1日が始まらない」というほど日課となった。来年3月の北陸新幹線小松駅開業に向け、自身の健康増進と美化活動継続に決意を新たにしている。
ごみ拾いを始めたのは56歳の時。献血に行った際、血圧が高いために血を提供できず、運動不足を痛感した。ごみを拾いながら歩けば毎日続けられると考え、ごみ袋を持ってウオーキングを始めた。
雨の日でも歩けるように、高架下の小松駅周辺をコースに決め、毎朝6時過ぎに小寺町の自宅を出発して、約1時間歩く。嵐や雪の日以外は毎日続けているという。始めた当初は「つらかった」が、駅周辺には、たばこの吸い殻やコンビニ弁当の容器などが多く、自然と歩が進むと話す。
北陸新幹線敦賀延伸に向け、駅周辺が変化していく様子も楽しんでおり、「次々と工事が始まり、小松市民として待ち遠しかった」と期待を膨らませてきた。
一方で、ごみの量はさほど変わっていない。「健康維持はもちろんだが、小松に到着した人に『きれいなまちだな』と思ってもらえるよう、体の動く限り続けたい」と力を込めた。