高岡環状線の事業費増大 高架化、98億から144億円に

事業費の上振れが見込まれる高岡環状線(富山県提供)

  ●19年度想定の1.5倍 労務、資材単価が高騰

  ●県公共事業評価委で報告

 高岡市上伏間江―佐野の主要地方道高岡環状線(延長2.6キロ区間)の高架化工事に関し、事業費が2019年度の段階で想定していた98億円から46億円増え、約5割増の144億円に上振れする見通しとなった。労務、資材単価の高騰に加え、詳細な地盤、地質調査により、一部で施工の見直しが必要となった。16日、富山県庁で開かれた県公共事業評価委員会で県側が報告した。

 事業は15年度に着手した。東側の南郷大橋―二塚高架橋(1.3キロ区間)は来年度に供用を予定し、全体の完了は29年度ごろを見込んでいる。事業費は着手時には70億円を想定していたが、19年度の事業再評価時に98億円に増額することが示されていた。

 県によると、資材高騰により、単価は19年度と比べ、橋桁の設置作業で7割、コンクリートで3割、鋼材で5~6割増加している。加えて地質調査によって、くいの長さが最大で想定の2倍となる20メートルを要することが明らかとなった。

  ●コスト縮減で継続

 橋りょう下部工の建設時、掘削する際に地下水が染み出るため、土留めのための仮設が必要となることなども判明。盛り土量の増加や不明管の撤去も考慮し、事業費が増加するとした。県は、掘削した土を再利用するなど、コスト縮減を図るとし、事業の継続を提案した。

  ●富山駅付近連続立体交差完了、1年遅れ30年度に 地鉄高架化遅延で

 評価委で県側は、富山駅付近連続立体交差事業の完了時期が、予定していた2029年度から1年遅れ、30年度になる見通しとなったことを報告した。駅東側で進む富山地方鉄道本線の高架化工事が2年遅れる見込みとなったことに伴い、高架化の終了後に実施される高架下の交差道路整備の遅延が想定されるため。

 県は6月、富山駅付近連続立体交差事業のうち、富山地鉄本線の高架化工事について、工程の見直しやシステムの変更が必要となったことを受け、完了時期が26年度末から28年度末に遅れる見通しとなったと明らかにした。

 地鉄が高架化した後、富山市が駅東側を走る都市計画道路堀川線のアンダーパスを解消して平面化し、4車線に拡幅する事業を展開する。道路のかさ上げは、地鉄の仮線が撤去された29年以降に施工が可能となる。県によると、市側から「高架下の整備完了まで、仮線撤去後2年を要する」との申し出があった。

 県側は前回の公共事業評価委で、富山駅付近連続立体交差事業の総事業費を約421億円から約520億円に増額するとしていた。今回の報告では金額に変更はなかった。

高岡環状線

© 株式会社北國新聞社