栃木市文学館と美術館、グッドデザイン賞を受賞 「町の歴史可視化」と評価

旧栃木町役場を改修した文学館

 【栃木】昨年度開館した入舟町の市文学館と市美術館がこのほど、日本デザイン振興会の本年度グッドデザイン賞に選ばれた。旧栃木町役場を改修した文学館とモダンなデザインの美術館が、市の歴史や文化を重層的に感じさせる点などが評価された。

 グッドデザイン賞は、デザイン性を生かし、社会の課題解決に貢献した建物などに贈られる。

 県庁堀に囲まれる両施設は、旧栃木市役所跡地の利活用の一環として整備された。国の地方都市リノベーション事業に選ばれ、市が2017年に基本計画を策定。両施設で約35億円かけて整備した。設計は佐藤総合計画(東京都墨田区)が担当し、文学館は22年4月、美術館は同11月に開館した。

 文学館は1921年に栃木町役場として建てられ、その後市役所庁舎としても使われた洋風建物を改修した。新築の美術館は「蔵」をイメージした二つの角張った屋根が特徴。両施設は向き合うように並び、間には芝生の広場が整備されている。

 審査員は「木造の文学館と対比的に、蔵を模した重厚なコンクリート造の美術館を向き合わせている。蔵の街で有名な近世からの町並みだけでなく、廃藩置県後の町の歴史を現代に可視化したことでも意義深い」などと評価した。

蔵をイメージした美術館

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