初出場のピアノ国際コンクールで1位に 高校生活の「勝負曲」でつかんだ栄光 鹿沼の高3柴田さん

国際コンクール初出場で1位に輝いた柴田さん

 【鹿沼】貝島町、東京芸術大付属音楽高3年柴田陽人(しばたはると)さん(17)が、7日に行われた大阪国際音楽コンクール高校生ピアノ部門で1位に輝いた。演奏したのは、毎朝始発で通った朝練で粘り強く取り組んだ「勝負曲」。初出場でつかんだ栄光に「高校生の自分が今できるベストな演奏だった。海外の演奏家と戦えたことは自信になった」と、喜びをかみしめている。

 同コンクールは国内では最大規模の出場者数を誇る。今年は全部門で24カ国から2355組が出場。同部門は1次審査(映像審査)で勝ち上がった75人が本選に出場し、うち34人がファイナルに進んだ。

 柴田さんはラベルの「『夜のガスパール』より『スカルボ』」を演奏。複雑な指使いや急速な連打が多く、演奏家の間で技術的に最高難度の曲とされる。

 高校1年の秋に練習を始め、同曲で複数回受賞経験があったが、今年7月の別のコンクールで想定外の予選敗退。勝負曲への絶対的な自信が初めて揺らいだ。

 それでも「2年間やり続けたこの曲で戦い続けたい」と、逃げることなく譜面に向き合い、指のタッチなどを一から見直した。両親の協力もあり、上野の校舎へ始発の新幹線で毎日朝練に向かい、帰宅後も2時間ほど練習を重ねた。

 「緊張は当然あった。でもこれだけ練習したから楽しく演奏したかった」。ファイナルの舞台に立つと緊張は吹き飛び、無我夢中で鍵盤をたたき続けた。「伝えたい表現が届いた」。演奏後、そう確信した。各部門上位者が出場するグランドファイナルでも特別賞を二つ受賞した。

 「音楽を通じて人の心を動かすのが好き。今後は海外のコンクールでも戦いたい」。来春は東京芸術大への進学を目指している。

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