【なぜ?】小さな地震で津波を観測…専門家は「マグマ活動関連の可能性」を指摘 鳥島近海の地震で発生

10月9日、鳥島近海を震源とする地震があり、太平洋沿岸の広い範囲で津波が観測されました。当時、津波を発生させるような大きな地震は観測されていませんが、なぜ津波が発生したのか? 静岡県内の津波の専門家は、地下のマグマ活動が関連している可能性を指摘します。

10月9日、伊豆諸島の鳥島近海で規模の小さな地震が多発し、八丈島で60cmの津波を観測したのをはじめ、太平洋の広い範囲で津波が観測されました。

気象庁は、その後行われた「政府の地震調査委員会」で、9日午前4時から3時間ほどの間に、少なくとも14回の地震が発生していたことなどを報告しましたが、津波を起こした原因は今もわかっていません。

常葉大学の阿部郁男副学長は、津波工学を専門とし、主に津波の発生メカニズムなどを研究しています。今回の津波についても、発生後からデータを集め解析を行っています。

(常葉大学(津波工学) 阿部郁男 副学長)

「大きな地震がなかった、断層が津波を起こしたのかが大きなポイント、一方で火山がある地域なので、マグマが関係して津波を起こしたとの指摘も。両方のパターンの津波の発生モデルを考え、いま何パターンかシミュレーションしている」

こちらが地下のマグマが影響して、津波を発生させたモデル。赤い所が津波が伝わった場所で、高い所ほど色が濃くなっています。津波は八丈島など北側方向、そして四国など西側に伸びているのが分かります。

(常葉大学(津波工学) 阿部郁男 副学長)

「鳥島近海で今回と同じような津波が起これば、四国や九州の方により高い津波がいく恐れがある。駿河湾ではあまり津波は高くならないが、遠州灘は、駿河湾より津波が高くなる傾向」

実は鳥島近海では、1984年にも大きな地震を伴わず津波が発生したことがありました。この時の要因についても、研究者の間で断層による津波なのか、マグマの影響による津波なのか意見が分かれているようです。

今回の津波について阿部教授の見解は・・・

(常葉大学(津波工学) 阿部郁男 副学長)

「どっちも計算しているが、いまのところ、マグマの方が観測された結果に近い」

いずれにしても、ほかの県であっても、津波注意報が出された場合は、すぐに海から離れることが重要だといいます。

(常葉大学(津波工学) 阿部郁男 副学長)

「地震イコール津波ではない、地震の揺れがなくても、地震のマグニチュードが小さくても、津波を発生させる可能性があるということを確認しておいてほしい」

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