唐津市の豚熱、中国地方由来か 農水省専門家会合 侵入要因は特定できず

 農林水産省の専門家会合は16日、唐津市で発生した豚熱(CSF)の感染経路の検討結果を発表した。二つの発生農場から得られたウイルスの遺伝子を解析した結果、中国地方西部の野生イノシシ由来のウイルスに近いことが分かった。県内で野生イノシシへの感染が確認されていないことから、人や物を介して侵入したと考えられるが、具体的な要因については「合理的に説明できるものは見当たらない」と断定を避けた。

 報告書では、県内1例目の農場では、2例目の農場にはない変異が確認できることから、ウイルスは2例目の農場から1例目の農場に広がったと考えられると指摘。2例目の農場は感染確認の1カ月以上前、1例目は2週間程度前にウイルスが侵入したとみられるという。

 2例目の農場への侵入要因については、従業員や獣医師らへの聞き取りで、中国地方西部との行き来が確認されなかったこと、車両も消毒や洗浄が実施されていたことなどから「現時点ではウイルスの侵入要因として、合理的に説明できるものは見当たらない」と判断を保留した。

 専門家会合は車両の消毒、作業着や長靴の交換などの衛生対策、野生動物の侵入防止対策の徹底を提言した。近隣で野生イノシシの感染が確認されていない地域でも、人や車両などを介してウイルスの侵入が起こり得るとも指摘した。(大橋諒)

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