白石のコウノトリ 福岡に“引っ越し” 親子3羽で移動 関係者「来年も戻ってきて」

白石町で産卵、子育てしていたコウノトリ一家。3羽は9月末に福岡県筑前町に移動。雄の子ども「しろ」は白石で姿が見えなくなった=7月12日、白石町(日本野鳥の会佐賀県支部提供)

 この春から白石町で子育てしていたコウノトリの親子が、福岡県筑前町に“引っ越し”た。2羽生まれたが雄の「しろ」は行方が分からず、親鳥と雌の「かのん」が3羽で移動したようだ。関係者は「思ったより長くいてくれた。来年も白石で産卵、子育てを」と期待を寄せる。

 親子3羽は9月31日に筑前町にいるのが日本野鳥の会によって確認された。前日までは白石町で姿が見られていた。筑前町付近は親鳥が白石に来る前にいた場所で、京都から雌1羽も飛来しているという。

 親鳥2羽は3月、昨年に続いて“来町”。同月末に白石地域の電柱に作った巣で産卵した。5月初めに4羽がふ化し、うち2羽は順調に育って7月9日と11日に巣立った。その後は徐々に行動範囲を広げ、福富地域などでも目撃されていたが、9月中旬ごろに「しろ」の姿が見られないようになっていた。

 昨年は3羽ふ化したが巣立てず、親鳥は8月中旬に町を離れた。今年は1カ月半ほど長くいたことになる。日本野鳥の会県支部の宮原明幸支部長は「餌が取れなくなったのだろう。子どもが長い距離を飛べるように育ったからかも。来春も来て産卵、子育てしてほしい」と話す。

 白石町も「渡り鳥ですから…。来年も3年連続で子育てしてくれれば。子どもたちもいつか帰ってきてほしい」と期待する。生態に詳しい兵庫県立コウノトリの郷公園は「ひなは3歳で成鳥になり繁殖を始めるが、生誕地に戻ることは少ない。ただ、親鳥は来年も白石で産卵する可能性が高い」とみている。(小野靖久)

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