アフターコロナのブライダル 新時代 選ばれる決め手は「少人数」 スイートルームを使用したプランも

新郎新婦の新たな門出を祝う結婚式。コロナ禍を経たいま、結婚式の価値観に変化があるといいます。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「コロナ禍のブライダル業界は本当に厳しい状況だったかなとは思っています。コロナ禍前との比較で、2019年度は約50%まで挙式組数は落ちてしまったというのが状況です」

ヒルトン広島 マーケティングディレクター 五戸若茂子 さん
「全国的にご結婚される方の人数も減ってはきているなとは思いますし、宴会場も思っているほど伸びてはいないという現状ではあるんですけれども」

『変わるブライダル』
新たな試みで、時代にあったプランを! ブライダル業界の今を取材しました。

広島市の中心部を見渡すことができる高台の結婚式場『マリエール広島』です。敷地面積8000坪の中に天井の高さ18メートルのチャペルとウェルカムラウンジ、そして4つのゲストハウスを構えます。2001年開業で、これまで4000組以上のカップルが結婚式を挙げました。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「アフターコロナに入ってからは本当に結婚式を開催されるカップルも本当に多くなってきまして。組数でいうとコロナ禍前の92%までは回復はしてきてます」

組数は戻りつつありますが、これまでとは少し違った動きがあるようです。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「最近では、ご親族だけの少人数での結婚式やフォトウェディングなど。昔からなかったっていうわけではないんですが、最近ではお客さまが、そういった選択肢を増やされたといった印象です」

アフターコロナの課題となっているのが、結婚式の出席者人数の減少です。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「コロナ禍前までは、およそ約70名様の平均人数だったんですが、こちらが今現在では、約55名様という人数にとどまっています」

若い世代が結婚式に出席する機会が少なくなっている…。結婚式の雰囲気や感動を知ってもらう必要があります。マリエール広島は、この夏からインスタグラムをスタートしました。スタッフが披露宴の様子をインスタ用に編集して、動画の配信もしています。

そして、式の打ち合わせにも変化が! コロナ禍を経験したことでオンラインによる打ち合わせも導入しました。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「従来、結婚式は対面の打ち合わせがメインではあったんですが。当社でもオンラインの打ち合わせを導入したり、最近ではチャットツールも活用して、お客さま自身はご自宅や仕事をしながら打ち合わせが行えます」

さらに、4年前から『おめでとうレストラン』と題して、週末、結婚式がない日を限定に、披露宴会場を使ってレストラン営業もスタートさせました。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「結婚式場でレストランというのが、なかなか認知度がなくて、2019年度の営業開始当時は、1回の開催で1組~2組のご予約しかいただけなかったんですが」

今では1回の開催でおよそ50人の予約が入るなど好評で、去年はグループ全体で売り上げが6000万円を超え、営業面でも大きな柱になるまで成長しました。

マリエール広島 市川貴督 支配人
「今後もブライダル業界は非常に厳しい時代に入っていくんだと思っています。しかし、それはこれまでと全く同じ結婚式や考え方を持ったままといった意味であって。お客さまの多様化を受け入れ、本当にお客さまが必要とされるサービスを提供すれば、コロナ禍前よりも成長できるチャンスはきっとあると思います」

マリエールは、今後もニーズにあった結婚式を提供していきたとしています。

G7広島サミットでバイデン大統領が宿泊したホテルでは…

グランドオープンから1周年を迎えるヒルトン広島です。4階フロアを中心に婚礼施設が設けられています。こちらは、メディア初公開!『ブライダルスイート』と呼ばれる完全個室の空間で、新郎がスピーチの確認をしたり、新婦と父親がエスコートを練習したりするなど、挙式前の大事な時間を過ごす場所として用意していたそうです。

ズラリと並んだウエディングドレス。ヒルトン広島オリジナルドレスも用意されています。広島の県民性としては、「新婦の母親の意見」が尊重されることが多いそうです。そして、最大80人が出席できるチャペルです。

正面には、三段峡をイメージしたデザインも! 宴会場では、プロジェクションマッピングの演出が行われるなど、最先端な披露宴の演出が用意されています。ホームページでスペシャルプランを確認すると、新郎新婦と両親の宿泊も付いて150人出席で費用は、なんと535万9315円!

ヒルトン広島 アシスタントセールスマネージャー 松島友美 さん
「エレガンスプランということで、10名様96万円で進めていこうと思います。ホテルってすごく格式が高く見えてしまうけどもカジュアルに」

大人数の豪華な結婚式もできるヒルトン広島ですが、このところの「少人数ウエディング」も取り込もうと新たなプランを立ち上げました。それが、『プレミアムスイートウエディング』です。

ヒルトン広島の強みであるスイートルームを使用したウエディングプランです。21階のスイートルームには、食事を囲むテーブルや大型ソファーが置かれ、広島の絶景を楽しむことができます。この部屋が披露宴の会場に生まれ変わります。

ヒルトン広島 マーケティングディレクター五戸若茂子 さん
「限られた人数とこの絶景をながめながら。ほかでは味わえない、ハウスウェディングっていうイメージなんですけれど」

この日は、新たなプランを紹介する宣伝用の撮影です。まずは撤収するものを別室へ移動。そして、新たに運び込まれた装飾用の花たち。飾りつけるのは、ホテル1階に店舗を構えるフローリストハンナヒルトン広島店のスタッフです。

迎えた撮影当日、最終仕上げが行われていました。飾られた花、その数、なんとおよそ550本。何ということでしょう!? スイートルームが、ウエディング会場に生まれ変わりました。会場の出来上がりを総支配人がチェックにやってきました。

サミュエル・ピーター 総支配人
「良いね! すごい良いね!!」

総支配人も満足そうです。そして、新郎新婦役のモデルの準備も整い、いよいよ、宣伝用の撮影がスタートです。1シーンごと、モニターで確認しながら進められていきます。陽もすっかり落ちて、キャンドルも灯される中、撮影は続けられていきます。最終カットの確認です。

「はい、OK」「ありがとうございました。お疲れさまでした。拍手…」

3時間の撮影を終え、関係者からは拍手が上がりました。

ヒルトン広島 マーケティングディレクター 五戸若茂子 さん
「結婚される方っていうのは、必ずマーケットとしてはあると思うので。ホテルとしても何か新しい切り口で、いろんな場所とか、経験をご提供できたらいいかなと思っています」

少子化によるブライダルの減少や少人数化、そして多様化するライフスタイルの中、新しいおもてなしのブライダルが求められています。

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