“若者に神楽をやってみたいと感じてほしい” 有志で集まった神楽団がロサンゼルス公演へ 800席は受付開始から1か月で埋まる 広島・北広島町

広島県北広島町の神楽団が、11月にアメリカ・ロサンゼルスで公演します。後継者不足が課題になる中、海外に発信することで若者からの注目も集めようと期待が高まります。

日が落ちてぐっと冷え込む北広島町。地域の人たちがそれぞれの仕事を終えて集まる理由は「神楽」です。北広島町には約70の神楽団体があり、多くの人に親しまれてきました。地域に根付いた文化を盛り上げようと、北広島町はロサンゼルスでの公演を企画しました。

北広島町 箕野博司 町長
「コロナもあったので、神楽の勢いがなくなってきたところもあって、もう1回がんばろうというような意味でもこのアメリカ公演は成功させたいなと思っていますし、若い人もこういうふうにできるんだという自信を持ってもらって…」

舞台は、ロサンゼルスの日本人街にある「アラタニシアター」。神楽はG7サミットでも注目され、海外でも人気が高まっています。渡航費や滞在費などの4000万円の事業費は、全額「企業版ふるさと納税」の寄付が充てられます。北広島を応援する企業からの寄付は、順調に集まっているということです。

ロサンゼルス公演に向けて、地域のそれぞれの神楽団から集まった有志は18人。7月から毎週2回、練習に励みます。神楽団によって舞いや拍子が違うため、ひとつの作品にするには難しさがあります。北広島で30年神楽を続けている 立盛翔太 さんは、ふだんは地元でラーメン店を営んでいます。練習の日はお店を休んで参加します。

立盛翔太 さん(38)
「しんどいです、体力的に。しんどいけど魅力があるので。魅力は難しいですね、言葉にならん、どうやって伝えていいんかわからんのですけど。なにかそわそわするというか」

会社員の 舛見龍太 さんは、経験の違う先輩たちとの稽古に必死についていっているといいます。

舛見龍太 さん(23)
「緊張と焦りが徐々に増してきているんですけど、志望したからには絶対に成功させないといけないと思っているので、使命感を持って蛇の扱いに磨きをかけていけたらなと思っています」

北広島町神楽協議会 宮上宜則 会長(72)
「後継者育成というのが大きな課題だと思います。アメリカ公演に行って、みんなと一緒に練習して、そういう雰囲気を各神楽団に持っていってもらって、リーダーとして育って行ってくれればいいかなというように思っています。若者たちにも共通して神楽っていいなと、やってみたいなと感じてもらえればと思います」

800枚のチケットは受け付け開始から約1か月でなくなり、現在、キャンセル待ちの人も出ているようです。ロサンゼルス公演は11月19日に迫ります。

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