「賢い戦いをしてくれた」、チュニジアにリベンジの森保一監督が手応え…タフなアジア予選への決意も語る

チュニジアにリベンジの森保一監督、タフなアジア予選への決意も語る[写真:Getty Images]

日本代表を率いる森保一監督が、チュニジア代表戦を振り返った。

日本代表は17日、ノエビアスタジアム神戸で行われたキリンチャレンジカップ2023のチュニジア代表戦に臨み、2-0で勝利した。

来月からスタートする2026年ワールドカップ(W杯)アジア予選に向けて最後のテストマッチとなる今回の一戦では、昨年の対戦で0-3と完敗した因縁の相手と対戦。

そのリベンジマッチでは優勢に試合を進めながらも最後の部分で苦戦を強いられていたなか、前半終盤の43分には神戸凱旋の古橋亨梧のゴールで先制に成功。迎えた後半はメンバーを入れ替えながらも、69分に伊東純也のゴールで追加点を奪取。以降、試合最終盤には一矢報いたいチュニジアの反撃を受けるも、きっちり無失点で試合を締めくくった。

同試合後、森保監督は会見の冒頭で周囲への感謝と共に、焦れずに難敵を破ったチームのパフォーマンスを称賛している。

「まずはノエビアスタジアムに足を運んでくださったみなさん。メディアを通して応援してくださったみなさんに感謝を伝えたいです。みなさんの応援と一緒に戦ってくれるという共闘の気持ちは選手たちに届いていますし、選手たちは勝利を目指して戦うことができました。本当にありがたいと思っていますし、我々だけでなく協力してくださっている方々と勝利を分かち合うことができて嬉しい気持ちです」

「6連勝できたというところは、まずは一試合ひと試合勝利を目指していく中で高みを目指して成長するという選手との共有の中、選手が日々やるべきことや今日の試合に向けて個々でやること、チームとしてやることを徹底してくれた上、さらにチャレンジしていく姿勢を見せてくれたことが今日の勝利にも繋がったと思います。一試合ひと試合、少しずつメンバーを代えていく中でもパフォーマンスを落とすことなくチームとしての戦い、個々の良さを出してくれるという、日本代表として戦力になり得る選手が力を示してくれたことは監督としてありがたいですし、選手たちをリスペクトしています」

「今日の試合に関しては強固な守備を特徴とするチームで、そこをこじ開けることは決して簡単ではなかったですが、粘り強くボールを動かしながら相手の守備を崩していくという部分で、選手たちがボールに向かっていくアグレッシブなチャレンジと気持ちと我慢強さというものを得点に結び付けてくれたと思います。相手の狙いであるカウンターの部分で、切り替えのところでもう一度間髪入れずに回収していくところ。リスク管理をするところ。選手たちがこの試合に勝つために非常に賢く、したたかにプレーしてくれたと思います。アジアの戦いでも日本に対しては強固な守備で臨んでくる相手に対して、我慢強く戦うという部分では非常に良い勝利になったと思います」

また、焦れてカウンターを浴びて敗れた前回対戦からの成長を強く実感している。

「今日の試合ではここまでいろんなチームと対戦してきた中で、チュニジアは非常に力のあるチームで簡単にこじ開けさせてくれない中、選手たちはボールを動かしながら立ち位置を変えながら、非常に我慢強く賢く試合を進めてくれたと思います」

「今日の試合においては前回戦ったとき、去年に戦ったときはアグレッシブに向かっていく試合の入りは良かったですが、途中でなかなか攻撃が機能せず、焦れて切り替えが鈍くなってカウンターを浴びる形で痛い思いをした部分がありました。そこを選手たちが学んでくれ、相手の狙いとする守備から攻撃へのカウンターを意識しながらアグレッシブに前に向かってボールに向かってプレスにいきながら、幅を使ってボールを動かして縦にいく。それがどのタイミングがいいのかスイッチを共有しながら、考えてやってくれたと思います。賢い戦いをしてくれたと思います」

「これはこれから始まるアジア予選に向けて非常に良いシミュレーションとなるチームの戦いになりますし、チュニジアという強いチームを相手にこういった戦いができたことを自信にし、今日やれた崩し方をよりチームとしてインプットし、さらにオプションを増やしていけるようにしていきたいです。チュニジアもワールドカップに出ていますし、実際我々が対戦したコスタリカの試合でもそういう相手を崩すことができずに、最後一発やられて試合を落としていたので、過去の自分たちができなかった戦い方をさらにチームの力として幅を広げてレベルアップしていくというところは、選手たちも意識して今日の試合に臨んでくれたと思います。これからアジアの戦いは厳しいと思うので、しっかりとこじ開けていきながら、最後まで相手は公式記録でシュート1本でしたが、そのヘディングシュートがポストに当たりましたが、そのワンチャンスを狙ってくる相手と戦うので、今日の最後のような形が起きないように良いチームの成長を考えて取り組んでいきたいです」

常にリードしている状況や過密日程の疲労の影響もあって、試合終盤には相手の攻勢を受ける場面も少なくないが、その部分を課題と捉えながらも、そういった展開で今日のように勝ち切る重要性を説く。

「今日の公式記録では相手のシュートは1本でしたが、できれば押し込んだまま試合を終わらせたいという気持ちはあります。それを具現化する上ではピッチ内の選手たちが走り切るという部分や交代枠の使い方で工夫できるところもあります。ディフェンスの選手たちを代えるよりも、前線の選手たちを代えてより強度高くプレッシャーをかけていけるようにコンパクトな守備もできるようにする。それが交代によってできる部分かなと思います」

「ただ、ケガやコンディションなども含めて交代枠の使い方という部分で、ディフェンスラインの選手に交代枠を使って、相手は前線の選手を代えてくるという部分で、自分たちの前線の選手は前半からインテンシティ高くやってくれていたので、少し強度が落ちた部分はあります。ただ、相手はワールドカップに出ているチームですし、そういった強豪相手にずっと押し込む戦いは理想や願望として持ち続けたいと思いますが、受けてそこで今日の試合のようにピンチはありましたが、無失点で終わらせるところは持ち合わせていないといけないと思っています。ただ、最後まで押し込んで終わらせるような試合ができるようにチャレンジしていきたいです」
来月から2026年W杯アジア予選がスタートすることもあり、会見ではここまでのテストマッチでの手応えや今後の選手選考に関する質問も幾つか飛んだ。森保監督はチームとしての手応え、各選手の姿勢やアピールに満足感を示しつつ、選考する側としての贅沢な悩みに頭を悩ませている。

「チームの成長に関しては間違いなく積み上げていくことができて、確実に前進していると思っています。そこはこれから始まるワールドカップのアジア予選に向けての良い自信として戦えること。ただ、そこに慢心や過信、次の戦いに向けて油断がないように、そこは常にここが成長のゴールではなく、もっともっと上を目指しながらアジアを戦っていかなければならないと気を引き締めていますし、これまでの親善試合では間違いなくチームとして良い戦いができていますが、選手たちの頑張りを称えたいと思います。ただ、アジアの予選は全く別の戦いになってくると思いますので、独特な雰囲気で合ったり環境の部分ではさらに厳しい状況で勝っていかなければならないと考えています」

「勝っているときも負けているときも過去の試合から成果や課題があるということは、選手たちに伝えています。チームとしても考えています。負けて反省はありますが、逆に良いこともあります。そこは勝っても負けても成長と課題があると常に考え、過去の経験がすべて未来に向けて次の試合に向けてポジティブも変換できると考えて選手たちに伝えています。勝っているときは浮かれて少し油断が出たり、ハードワークを少し怠ることで自分たちが良いパフォーマンスができずに、相手により隙を突かれてしまうこともあるので、そこは常に注意しています」

「ただ、ここ最近の活動を見て頂ければ、3月は勝てなかったですが、6月、9月、10月はすべて勝っていますが、その中で緩んだ試合は1試合でもあったかと言われると、課題はあったものの、選手たちのチャレンジやモチベーションの部分で緩みがあったとは思っていません。まだまだ成長すべき部分はあったと思いますが、油断や慢心の状態で試合に臨んだことは自分の感覚ではなかったと思います。そういった意味では選手たち一人ひとりがプロフェッショナルとして日々やれること、そして試合に向けて準備して取り組んでいると思います。常に過去の勝利が次の勝利を約束してくれるものではないと考えながら、次の試合に向けて最善の準備をすること。あとは今のベストを尽くすことは考えているところです」

「(新たに選手を試した中での収穫は?)収穫は起用させてもらった選手たちのすべてが収穫だったと思います。今回の10月の活動だけでなく、カタールのワールドカップが終わってからの3月、6月、9月、10月と戦ってきましたが、ほとんどの期間に2試合をメンバー変更して戦ってきた中、個々の活動でも選手を入れ替えてきましたが、非常に多くの選手が戦力になり得るところを示してくれました。さらに、経験を積めば成長できるというところも多くの選手が見せてくれたところでは、個人だけでなくチームとして成長を見せてくれたと思います。いわゆる常連という選手たちはいますが、そうでない選手たちも所属クラブで非常に良いパフォーマンスを示してくれています。こちらでの活動でも非常に良いパフォーマンスとチャレンジを見せてくれているところは収穫だと捉えています」

「(アジア予選に向けた選手選考について)頭が痛いですし、辛いですし苦しいです。日本のサッカーとって非常に選手層が厚くなっていること、より多くの選手が世界で戦えることを示してくれていることは間違いなく誇るべき部分です。ただ、選ぶ側としては非常に辛い部分があります」

さらに、過密日程や劣悪なピッチ、対戦相手のプレースタイルを含めたアジア予選への懸念材料を口にしながらも、そういったタフな戦いをモノにすることが、選手、チーム、日本サッカーにとって今後に向けた大きな上積みになると捉えている。

「アジア予選を戦うにあたって日程面の厳しさは感じています。Jリーグの選手を含め海外でプレーする選手に関して長距離移動や時差、気候の違いもある中、準備期間が非常に短く、(クラブチームで)週末に試合を終えた後に木曜日の試合というところで、非常に厳しいコンディションで戦うことになります。今回の10月のゲームを見ても多くの選手が自チームのリーグ戦とヨーロッパの連戦を戦ってきた中でここに来ています。また、代表ウイークを戦った後にクラブに戻ってからも、自チームのリーグ戦とヨーロッパの戦いがあるという非常にタフで過酷な状況です」

「アジア予選に関しては非常に初戦が難しい。それはこれまでのワールドカップに向けたアジア予選でも身体がリカバリーできていない状態で試合をするという部分で、前回のカタール・ワールドカップ予選でも一度も全体練習ができない状況で戦っていますし、2回ほどの全体練習で試合に臨んでいくような環境になります。選手自身もコンディション作りが難しく、我々も試合に向けて難しい状況かなと思います」

「それでも、7回連続で日本がワールドカップに出場してきたところでは常に厳しいアジア予選をタフに戦って勝ち抜いてきたことが選手の成長、ワールドカップでの日本の積み上げ、成長に繋がっているので、どんな環境においても戦っていく、結果を出していくところを選手と共にやっていきたいです。環境に関しては最終予選になると、試合会場やピッチ状態等々のクオリティは上がってきますが、2次予選では厳しいピッチ状態で戦う部分は選手にとってリスクになってくると思うので、そこはサッカーのレベルを上げていくためにも、より良い環境で試合ができるようにアジアの協会の方々にも現状を知って環境の改善を考えて頂けるとありがたいと考えています」

「ただ、現状ではいろんなチーム構成や2チームで戦うなどいろんなことを考えていますが、これまで同様にタフに戦って勝ち抜いていき、選手たちも代表選手に選ばれ続けるところ。そこに成長があるという部分で、我々は現実の中でやるべきところをやって成長することを考えつつ、リスクがあるところは少しでも抑えていきながら、監督やスタッフと協力して取り組んでいきたいです」

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