富山県の入善沖で洋上風力完成祝う 脱炭素・観光振興に期待

風を受けて回る洋上風力発電の風車=入善沖

 富山県入善町横山の沖合で建設していた洋上風力発電所が完成し、17日に完成式が行われた。海上に設置された高さ152メートルの出力3千キロワット級の風車3基からなり、総事業費約60億円で一般家庭約3600世帯分の電力を賄う。港湾などを除く一般海域での100%民間出資の洋上風力発電事業は国内初。関係者は脱炭素社会の実現や地元の観光振興へ期待を寄せた。

 事業はウェンティ・ジャパン(秋田市)とJFEエンジニアリング(東京)、北陸電力でつくる入善マリンウィンド合同会社が手がける。発電した電気は固定価格買い取り制度で北陸電力送配電に1キロワット当たり36円で売電され、同電力管内で活用される。

 今年3月から海上工事が進められ、大型SEP船による作業には、県内外から大勢の人たちが見学に訪れた。当初は9月1日の稼働を予定していたが、風が弱い時期があったため、検査や手続きに時間を要した。同月22日から営業運転を開始。風車の回転音は波にかき消され、陸上ではほとんど聞こえないという。

 完成式は入善マリンウィンド合同会社管理棟(同町横山)であり、横山地区青年会が獅子舞を披露。神事に続き、ウェンティ・ジャパンの佐藤裕之社長や笹島春人町長、横田美香副知事らがテープカットした。

 佐藤社長は「町の期待を受けた事業で完成はうれしいのひと言。いい風に恵まれた場所で風力発電と漁業との共生も発信できる」と述べた。町長は「町の観光資源としてしっかり支えていきたい」と話した。

完成式でテープカットする出席者
詰めかけた報道陣の取材に応じる関係者
完成式で神事に臨む出席者
完成式に先立ち、披露された獅子舞

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