10月13～15日、岐阜県高山市を中心にJRC全日本ラリー選手権第8戦『第50回M.C.S.C. ラリーハイランドマスターズ2023』が開催された。今季2023年に導入された“JP4規定”に準じた新型スバルWRX S4を、前戦のラリー・北海道でデビューさせた新井敏弘／保井隆宏組（SUBARU TEAM ARAI）にとって、今大会は同車で2度目の参戦。初のターマック（舗装路）イベントで総合6位／JN1クラス5位となった。
北海道でのグラベル（未舗装路）2連戦を終え、JRCの2023年シーズンは高山での最終戦を迎えた。記念すべき50回目の開催となったハイランドマスターズの競技初日“レグ1”はSS1からSS6までの全ステージがドライ路面で行われたが、ステージよっては落ち葉に注意を払わなくてはならないなど油断できないコンディションとなった。
第7戦ラリー北海道の初実戦で洗い出した課題に対応する一方、今回はターマックに合わせた仕様で臨んだ新井は、オープニングステージ（SS1）を6番手タイムで駆け抜ける。新型車での2度目のラリーは、午前中のループでアンダーステアの症状が強く出てしまい、とくにテクニカルなステージでは苦戦を強いられた。
またクラス5番手で初日のミッドデイサービスを迎えた新井だったが、午後のSS4ではスローパンクチャーに見舞われるなど不運も重なり、順位をひとつ下げ総合6番手／クラス5番手でレグ1を終えることとなった。
「午前中はクルマが曲がらない感じだったのでサービスで調整し、午後はセットアップが良くなりました」と初日のラリーを振り返った新井。
「新しいエンジンのFA24に関しては、リストリクターを装着して走らせた実績が少なく、経験を積み上げている最中です」
■2日続けてのタイヤトラブルに泣く
総合5番手につける新井大輝／金岡基成（Ahead プジョー208 ラリー4）と1.7秒の僅差で迎えた競技最終日のレグ2。前夜から降り始めた雨の影響で路面はウエットとなり霧も出た2日目のオープニングで、新井はポジションをひとつ上げることに成功する。
しかし続くSS8のスタートから1km地点付近で、路上に落ちていた縁石のかけらに乗り上げタイヤがパンクする不運に見舞われる。そのままの走行を余儀なくされた新井は、このステージで14秒近くのタイムを失いふたたび5番手に後退することとなった。
雨があがった午後は徐々に路面が乾いていくなか、最終ステージ直前には一時的な豪雨に見舞われるトリッキーなコンディションに。そんななかベテランの新井は順位をキープし、スバルWRX S4での初ターマックラリーを総合6位／JN1クラス5位で走り切っている。
■来年もっと成長した姿を見せたい
2日間の競技走行後、新井はターマックラリーを走ったことで、さまざまな課題が見つかったと述べた。
「足まわりのセットアップは間違っていませんでしたが、車重とクルマに対するタイヤの大きさのハンデが出たように思います。グラベルはトルクがあっていいのですが、ターマックになると高回転域のパワーが必要になります」
「今回、ターマックのラリーを走ってみて、課題がいろいろと見つかりました。不甲斐ない成績でしたが、最初のターマックでネガティブな部分と同時に、いい部分も見つかりました」
「それをうまく伸ばしながら、来年もっと成長した姿を見せたいと思っています。これからも応援をよろしくお願いします」
今大会をもって全8戦で争われた全日本ラリーの2023年シーズンが終了。スバル勢は、途中欠場期間があった新井／保井組がJN1クラスランキング5位。開幕戦嬬恋で優勝を飾り序盤はポイントラインキング首位につけていた鎌田卓麻／松本優一は、テスト中の事故による負傷とその後の欠場によって順位を落とし、最終的にクラス4位でシーズンを終えている。
