メタンと海洋生物の関係調査 東京大など研究チーム 18日に上越沖へ 国連海洋科学の10年プロジェクト

ランダーの組み立て作業を行う松本特任教授(右手前)とシュナイダー特任研究員(中央奥)ら(16日、能生漁港)

上越沖の日本海に存在が確認されている表層型メタンハイドレートに関連し、海底から湧き出すメタンガスや冷たい水が海洋環境に与えている影響、共生する海洋生物との関係を調査するプロジェクトが始まる。調査機材を載せた船が18日、糸魚川市の能生漁港を出航する予定だ。

調査するのは東京大大気海洋研究所のグレン・シュナイダー特任研究員をリーダーとするグループ。上越沖のメタンハイドレート研究・調査を長く手掛ける明治大ガスハイドレート研究所の松本良特任教授(東京大名誉教授)、千葉大大学院理学研究院の戸丸仁准教授が関わる。

研究グループは能生・名立沖の海底地形、鳥ケ首海脚(かいきゃく)にある、水深約600メートルのガスチムニー(海底にガスが噴出している穴)付近1カ所にモニタリング装置(ランダー)を投下し、6カ月程度、海底環境や生物の生息状況、圧力・塩分などのデータ収集を行う。ランダーは研究に賛同した、海中調査などを手掛けるフグロ(本社・オランダ)の米国支社が提供した。

研究は国連教育科学文化機関(ユネスコ)が主唱する「国連海洋科学の10年」に承認された、海底から湧き出す水やガスに関するプロジェクト(COESS)。シュナイダー氏は「海底にはイカやゲンギョ、カニなどが生息している。長期間のモニタリングで、どのような化学的変化が起きているか調査したい」と話す。松本特任教授は「メタンハイドレートを掘削すると海洋環境や大気にどんな影響を与えるか。影響は許容範囲なのか。科学的に調べる必要がある」と研究の意義を説明する。

研究チームは測定結果を分析し、来年5月にも発表したいとしている。

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