広島・尾道市に「皮まで食べられるレモン」の栽培に取り組む生産者グループがあります。このグループが2023年度の農林水産祭の最高賞「天皇杯」に選ばれました。
受賞が決まったのは、尾道市瀬戸田町で農薬の使用を一般のレモン栽培より半減させて育てている「せとだエコレモングループ」です。
宮本悟郎 会長
「(受賞について)大変びっくりしているわけなんですけれども、逆にこういうことが消費者にとって将来的にもいる商品なんだろうなと」
16日には宮本悟郎会長らが尾道市役所へ 平谷祐宏 市長を訪ねて報告しました。
平谷祐宏 市長
「これから産地の人がうるおいができるように取り組んでいきたいと思います」
今回の受賞は、食の安全性を求める消費者の志向に応えた栽培で安定的な出荷に努め、産地のブランド化を図ったことなどが認められた結果でした。
「エコレモン」誕生には食の安全を巡る問題が背景にあります。1970年ごろ、輸入されていたレモンに使われていた防腐剤などに発がん性が認められたのです。輸入レモンにおされていた国産レモンが見直されてきたことを追い風に、2008年にグループが発足しました。
農薬の使用回数を半減させて育てた「エコレモン」を出荷してきました。今では、瀬戸田町の137戸でエコレモンを生産しています。
生産にはさまざまな条件があると宮本会長は話します。
宮本悟郎 会長
「ただ畑で決められた農薬・肥料をやるだけでなく、(農薬など)実際にやったことを記帳して県の方へ報告する。(出荷する時も)エコレモンだけを選別して出荷していく」
ほかのくだもので使っている農薬がかからないようにある程度の距離を開けるといった工夫も行われています。農薬を減らすと、風などでできた傷から細菌が侵入し、見栄えが悪くなってスーパーなどの店頭で販売できる量も減ってしまうといいます。
それでも宮本会長たちグループは「安心」こそ商品価値だと信じて取り組みを進めています。
宮本悟郎 会長
「ただ量的に日本一を作っているだけでは将来的な産地としては成り立たないと。やはり、実際にレモンは皮まで食べる。より安心して消費者の方に使っていただけるような、そういうレモンを提供させていただきたいなと」
「天皇杯」の受賞が産地のさらなる振興につながることを宮本会長たちは願っています。