関係者から悲鳴です。
土鍋の国内シェアの8割を占めるとされる、三重県四日市市の伝統産業「萬古焼(ばんこやき)」…主要原料である「ペタライト」が不足し、生産が困難になっています。
(萬古陶磁器工業協同組合 熊本哲弥理事長 三重県庁 18日午前10時半過ぎ)
「土鍋に私たちが使っている、いちばん重要なペタライトという原料が、近年なかなか入手が困難になっている。支援をしていただけないか」
三重県四日市市を中心とした伝統産業、萬古焼。
その原料になる「ペタライト」の確保を求めて地元組合が18日、三重県知事に提出した要望書。
萬古焼が危機に陥っているのです。
(銀峯陶器 熊本誠太専務)
「こちらがペタライトです」
(記者)
「触ってみると片栗粉のようにさらさらで、匂いはほとんどありません」
創業91年、三重・四日市市の銀峯陶器(ぎんぽうとうき)。
製造する萬古焼の土鍋に、リチウムを含んだ鉱物の「ペタライト」はかかせません。
土に混ぜることにより、焼いたときに膨張せず割れない耐熱性を実現しているのです。
背景に電気自動車の普及が…
しかし、「ペタライト」は100パーセント輸入に頼っていて、去年アフリカ・ジンバブエの鉱山を中国企業が買収したため入手が困難に。
買収の理由は「電気自動車の普及」です。
ペタライトは電気自動車に使われるリチウムイオン電池の原料にもなっていて、「資源の囲い込み」が熾烈になっているのです。
国産土鍋の8割が萬古焼…土鍋メーカーにとっては死活問題です。
(銀峯陶器 熊本誠太専務)
「供給が滞ってしまうというのは、非常に困っている問題ではあります」
萬古焼の組合でも、ペタライトの量を今より減らした生産方法などを検討していますが、まだ実用化の目途はたっていません。
(銀峯陶器 熊本誠太専務)
「国の力を使った供給ルートの再開というのは、期待したいところではあります」
仮にペタライトの安定供給ができたとしても、その価格は5年前と比べて、いま10倍ほどに跳ね上がっていて、商品の小売価格を上げないと、採算が取れない状況だと言い、各メーカーに暗雲が垂れこめています。
(萬古陶磁器工業協同組合 熊本哲弥理事長)
「国の力を借りないとなかなか難しい」
代替原料を使った脱リチウム化の模索も続いていますが、江戸の頃から続く萬古焼の伝統が窮地に…国をはじめとして、連携して考えていかなければならない局面が去年の上旬からずっと続いています。