「地獄のような状態」パレスチナ難民支援の日本人医師が語るガザ 広島を訪れた中学生は「ガザのために立ち上がって」

パレスチナ難民の支援を続ける日本人の医師、清田明宏さんに話を聞きました。現在のガザは「地獄のような状態」だということです。

国連パレスチナ難民救済事業機関・保健局長の清田明宏 医師は「私が知っている限りでは今までで一番ひどい戦争だと思っています」と話しました。

清田さんは、UNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の保健局長です。ガザ地区を含め、各地でパレスチナ難民の支援を続けています。現在はエジプトで、ガザにいるスタッフをサポートしたり、国連職員が退避するための準備をしたりしているそうです。

清田さんによりますと、爆撃されたガザの病院には、現地で運営しているクリニックから、出産や手術のために去年は1200人ほどを受け入れてもらっていたといいます。

国連パレスチナ難民救済事業機関 保健局長 清田明宏 医師
「非常に長いつながりのある重要な病院で、私も行ったことがあるが皆ショックを受けて憤りを感じています」
ーーQガザにいる人は、どんな暮らしを強いられている?
「(ガザ北部からの避難で)南部に100万人いたところにいきなり人口が倍増。なおかつインフラ、経済がよくないのに人口が倍増する。外から食料も入ってこないので非常に厳しい、状態が悪いところに人口が倍増して戦火がひどくなる。地獄のような状態だと思う」

外部からの物資の供給が断たれたガザの人道危機は、日に日に深刻さが増しています。

国連パレスチナ難民救済事業機関 保健局長 清田明宏 医師
「早めに人道支援の物資を人道回廊を設置してどんどん入れないと、本当に中の人は大変。エジプト側にはWHOとか、いろんなところから支援物資が届いているので、早く人道回廊を開けて中に挿入しないといけない」

今月、ガザの中学生3人が広島を訪れました。東広島市にある高校では、日本の生徒たちと笑顔で交流しました。

原爆資料館では、被爆した広島の街並みとガザの状況を重ね、厳しい表情になった3人…。それでも、復興した広島の街並みに希望も見いだしていました。

ガザ地区の中学生 ラマ・オウダさん(14)
「日本は苦しだ歴史があるけれど立ち上がった。私たちは今、同じような苦しみがありますが私たちも立ち上がりたい、広島のように」

3人が広島を出発したまさにその日、ガザ周辺では戦闘がはじまりました。

広島で「ジャーナリストになってガザのことを伝えたい」と将来の夢を話していたジェナーン・アブー・ユニスさん(14)。12日にSNSに投稿した動画では、表情も一変していました。

~ガザ地区の中学生 ジェナーンさんのSNSより~
「日本の学生たちに希望やエネルギー、パワーを伝えてきたけれど、今は希望と人生に失望している。ガザは今、破壊されている。もし私がガザに帰ったとしても何も分からないでしょう。ガザとは思えない。私の家も分からない。全てが破壊されています。ガザのために立ち上がらなければ私はあなた方を許さない。これはパレスチナ難民の私からのメッセージです」

隣国のヨルダンに滞在している3人はいまもガザに戻れず、家族と連絡をとることも難しくなっているということです。

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