死亡女性は首、胸を骨折 富山のクマ?被害

17日夜にクマに襲われたとみられる高齢の女性が見つかった住宅=18日午前、富山市江本

  ●福井で男性けが、北陸で被害続々

 富山市江本の住宅敷地で見つかった、クマに襲われた可能性がある女性の死因について、富山南署は18日、首や胸を骨折したことに伴う出血性ショックだったと明らかにした。富山県警は同日、クマが逃げた可能性がある地域で複数のドローンを飛ばし、捜索した。また同日朝、勝山市の畑で農作業をしていた男性(72)がクマに襲われた。命に別条はない。クマによる人身被害が石川を含め北陸で相次ぎ、各自治体が警戒を強めている。

 富山南署によると、女性は住人の無職江●(崎の異体字)(えざき)三千子さん(79)。夫の彌憲(みのり)さんから「17日午後6時ごろから妻がいない」と通報があり、署員が捜索。17日午後9時40分ごろ、屋外の敷地で血を流してうつぶせに倒れているのを発見した。同署によると、頭と顎に深い切り傷があった。顔の損傷が激しく、身元の特定に時間を要した。

 18日の司法解剖の結果、死亡推定時刻は17日午後5~8時とみられる。敷地ではクマのような足跡が見つかったほか、同日午後5時半ごろには現場付近の別の住宅でもクマが目撃されていた。

 現場は富山駅から南に約8キロ離れた田園地帯。周辺には住宅が点在している。富山市は18日朝、子どもの通学時間帯に広報車で周辺を巡回し、注意を呼びかけた。午後には、クマが逃げた可能性がある地域で、富山県警が体温を感知できる赤外線カメラを搭載したドローンで捜索を行った。

 近くの70代男性は「最近はクマの出没情報を頻繁に聞く。農作業中は鈴を持ち、ラジオをつけている。近所でこんなことが起き、驚いている」と話した。

 一方、勝山市によると、男性は同市村岡町浄土寺の自宅横の畑でクマに背後から襲われた。頭をひっかかれ、6針を縫うけが。成獣1頭で、北西に逃げていった。福井県は18日午後、対策会議を開催。県警と連携し住民への注意喚起を行うとともに、餌となる果樹の管理の徹底などを関係部署が確認した。

 石川県内では9日に金沢市の大乗寺丘陵公園、11日に小松市の木場潟公園東園地で、いずれも男性が襲われた。県は11日に「ツキノワグマ出没警戒情報」を発令した。

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