車いすのまま着替えOK、障害者向け衣類 神戸の福祉施設など開発 生産販売へ資金募る

バギーなどに乗った状態で脱ぎ着しやすいアウター=神戸市北区しあわせの村

 重度の肢体不自由や知的障害のため、介助が欠かせない障害児者向けの衣類(アウター)を、重度心身障害児者らが利用する医療・福祉施設「神戸医療福祉センターにこにこハウス」(神戸市北区しあわせの村)などが開発した。障害児者が車いすなどに乗った状態でも、介助者によって脱ぎ着できる構造。生産販売へ向けて23日までクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

 手がけたのは、同ハウスの河崎洋子院長や甲南女子大学の八木麻理子教授、福祉・リネンサプライ業の岩多屋(島根県)。

 重度心身障害児者は、関節の変形などで、服の脱ぎ着で骨折する恐れがある。体にあったアウターが少なく、保護者や介助者も着替えには細心の注意が必要という。重度心身障害者を診療する河崎院長と八木教授は「もっと手軽に脱ぎ着ができたら」と考えていた。同社の声かけを受けて開発を始め、約3年がかりで完成させた。

 アウターには伸縮性のある素材を使用。車いすやバギーに乗った障害児者の前から着せて袖を通してもらい、首の後ろの面ファスナーで留める。また、腹部にあたる場所にファスナーがあり、衣類を上下に切り離せるほか、胃ろうにも対応できる。

 着用した酒井悠里さん(8)の母里沙さんは「体を起こさずに着られるので便利。生地も暖かく、バギーにあった形なので、寒さ対策にもいい」。八木教授は「服がユニバーサルな形になることで、障害児者や高齢者など多数の人にも対応できる」と語った。

 CFの詳細は岩多屋のホームページで。(劉 楓音)

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