長崎市の中期財政見通し 2026年度まで「赤字」 厳しい財政運営続く 来年度から5年間

 長崎市は18日、2024年度から5年間の財政状況を試算した「中期財政見通し」を公表した。公共施設の修繕や新たな施設建設といった大型事業の実施などにより、収支は26年度までの3年間は毎年度赤字。基金を取り崩して収支差を埋める「厳しい財政運営」が続く。新たな文化施設と市民総合プールの建設費も盛り込んだが、いずれも規模や建設地などが決まっておらず影響は流動的だ。
 財政課によると、赤字額は▽24年度33億円▽25年度26億円▽26年度11億円で、不足分は基金を充てる。事業見直しや自主財源の確保により毎年度3億円、5年間で累計45億円の収支改善を図り、27年度以降は収支をおおむね均衡させる。ただ本年度末に214億円と見込む基金残高(貯金)は、28年度末には142億円に減るという。
 歳出については毎年度、施設修繕や大型建設事業などの投資的経費が200億円台半ばから300億円台半ばの高い水準で推移する見通し。建設が進むごみ処理焼却施設の新東工場や、中部・南部給食センターなどのほか、建設地などが未定の文化施設と総合プールの事業費も「一定の金額」を想定して組み込んでいるが、具体的な金額は明らかにしていない。
 過去の大型事業などに伴う公債費(借金返済額)は24年度の271億円がピーク。市債残高(借金)はピークだった21年度の2741億円から徐々に減り、28年度には2414億円になると見込んでいる。
 一方で歳入のうち、4分の1程度を占める市税は、大型事業により法人税や固定資産税が増えることなどから、本年度の見込み額555億円より多くなる。国からの普通交付税は人口減などの影響で26年度以降は減る見通し。

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