相次ぐ高齢ドライバーの事故 免許返納の声が高まる一方で 「車がない生活」に起きること

19日朝、愛知県瀬戸市の喫茶店で80歳の男性が運転する車が店の中に突っ込みました。

この事故で、店にいた88歳の男性客がけがをして病院へ運ばれました。

19日午前8時半ごろ、瀬戸市共栄通の喫茶店で、客4人がモーニングを楽んでいるところに突然、車が突っ込みました。

運転していたのは瀬戸市に住む80歳の男性。

店の前の駐車場にバックして停めようとしたところ、運転操作を誤って店に突っ込んだということです。

男性は、この店の常連客で慣れているはずの場所で起きた事故でした。

(喫茶店の店員)
「もう気付いたら車が中に突っ込んでいた感じ。みんな、びっくり」

この事故で、店内にいた88歳の男性客が顔に軽いけがをしました。

こうした高齢ドライバーによる事故は2日前にも…。

北海道釧路市では病院の敷地内で77歳の男性が運転する車に、4歳の女の子と母親がはねられ、女の子が死亡し母親も軽いけがをしました。

男性は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話しています。

(通院していた人)
「もう、ひとごとじゃないですね。いたたまれない。信じられない」

高齢者の運転による事故は他にも、実際に事故を起こした車のドライブレコーダーの映像には、車が駐車場を突き抜けて建物の柱に衝突する様子が。

運転していたのは高齢者、アクセルとブレーキを踏み間違えたのが原因でした。

運転操作の誤りで、車は一瞬にして凶器と化すのです。

一方、事故を起こす前にと、ことし9月に免許を返納したのは、名古屋市緑区に住む内木千枝子さん(79)。

(内木千枝子さん)
「(事故が)起きてからでは遅いと思う。悔しいですけど一歩手前で返納した方がよいのでは。寂しい、すごく寂しいです」

免許を返納した後の内木さんの移動手段は公共交通機関です。

この日は、趣味のコーラス教室へ。

(内木千枝子さん)
「車で行けば30分あれば行けるので、それが1時間半くらい取られてしまう。時間的にもったいない」

バスの本数が限られる中、自宅からバス停まで歩く必要もあり、移動には時間と体力を費やします。

今回、80歳の男性の車が突っ込んだ喫茶店も、最寄りのバス停までの距離は約100メートル。

すぐ近くにあるように思えますが…。

バスは1日6本しかなく、本数が少ないのです。

今回、事故を起こした80歳の男性は喫茶店の常連客で、19日もモーニングを楽しもうと午前8時半ごろに車で店を訪れましたが、免許を返納し公共交通機関で移動することになれば、この時間に店に来られるバスはありません。

各地で相次ぐ高齢ドライバーによる事故。

免許の返納について議論される一方で、車が無くても高齢者が移動しやすい環境を整えなければ、返納がなかなか進まない現実もあります。

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