【フィリピン】セブ工場に大規模太陽光[製造] ミネベアミツミ、13億円投資

工場に設置した太陽光発電システムについて説明するミネベアミツミの森フィリピン総支配人(右)=19日、セブ州ダナオ市(NNA撮影)

電子部品大手ミネベアミツミは19日、フィリピンの中部セブ州ダナオの工場に設置した大規模太陽光システムを稼働した。投資額は約5億ペソ(約13億円)。同工場の使用電力全体の約8%を賄う規模となる。自社で進める温室効果ガスを削減する取り組みの一環で、同国政府から自家消費用太陽光として初めて税優遇が付与される見通しだ。

太陽光システムはシャープ製で、出力規模は約7,900キロワットとなる。自社工場向けに全量を使用する。フィリピンの日系企業の工場では最大級という。予測発電量は年約1,281万キロワット時。温室効果ガスの排出削減効果は年約6,833トンを見込む。

19日にダナオ工場で開いた式典で、ミネベアミツミのフィリピン総支配人を務める森達哉氏は「太陽光で賄える工場の使用電力は大きくはないが確実な一歩になる」と述べた。

フィリピン投資委員会(BOI)のセフェリノ・ロドルフォ委員長(貿易産業次官)は、自家消費用太陽光発電システムの設置を法人減税の対象とすることを近く発表する方針を明らかにした。その上で、ミネベアミツミの案件が適用第1号になると説明した。

太陽光発電に関する税優遇措置は現在、売電用のみ適用され、自家消費用は含まれていないという。東南アジア地域で製造業が盛んなタイではいずれも対象になっている。

ミネベアミツミは、2031年3月期までに21年3月期比で温室効果ガスの排出量を30%削減、50年に実質ゼロにすることを目指している。今回の太陽光システム設置も社内の目標に沿った取り組みとなる。

フィリピンではダナオ工場のほか、マニラ首都圏近郊のバタンガス州サントトマス市とバターン州マリベレスに工場を構えている。バターン州の工場では屋上太陽光発電システムの設置に向けて調査を進めている。

ミネベアミツミがセブ工場で製造する主力製品は「小型アクチュエーター」と呼ばれるスマートフォンなどに搭載される小型カメラ部品で、世界シェアは首位。セブ工場は社内で同製品の95%を生産している。今後も需要拡大が見込まれることから、セブ州の南部ナガ市に新工場を設置し、9月に稼働した。

セブ州ナガ市に設置した新工場の外観(ミネベアミツミ提供)

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