泉鏡花記念金沢市民文学賞 小網さんの短編集「しずり雪」と中川さんの句集「鳳笙」

受賞の喜びを語る中川さん(右)、小網さん=金沢市役所

 金沢市が制定する第51回泉鏡花記念市民文学賞に、小網春美さん(76)=幸町=の短編小説集「しずり雪」と中川すなをさん(73)=石引4丁目=の句集「鳳笙(ほうしょう)」が選ばれた。授賞式は11月11日、市民芸術村で行われる。

 小網さんの小説集は、夫の友人の実話をもとに余命わずかの上司を介護した女性の思いの移り変わりを描いた表題作など5編を収録。40年以上の創作活動で培った筆力で人間関係を奥深く表現したと評価された。

 小網さんは「素晴らしい賞をいただけて最高の喜びだ。生きにくさや不条理への怒りを癒やす心温まる作品を書きたい」と話した。

 中川さんは俳句をたしなんだ父の死去に伴い、1994年に句作を始めた。毎朝、犬を連れて散歩しながら景色に目をやり、心の琴線に触れた自然の美しさを書きとどめてきた。

 受賞作は約30年間の作品を厳選した初の著書で、「まだ雲の上にいるような気持ち。優しく厳しく引っ張ってくれた先生方に感謝したい」と語った。

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