小松全40機、F35Aに 防衛省計画、28年度8機配備

訓練で小松基地に飛来したF35A戦闘機=2021年11月

 防衛省は19日、航空自衛隊小松基地に最新鋭ステルス戦闘機F35Aを将来的に計40機配備する計画を明らかにした。2025~27年度に1隊目として導入する20機に加え、28年度に8機を配備し、その後に12機を追加して2隊体制とする。中国による台湾侵攻の懸念など安全保障環境が厳しさを増す中、日本海側唯一の戦闘機部隊がある重要基地の機能強化を図る。

 同日、防衛省近畿中部防衛局の茂籠(もろ)勇人局長が小松市役所に宮橋勝栄市長を訪ね、計画を説明した。防衛省は24年度予算の概算要求にF35A8機の取得費用1077億円を計上した際、配備先を明らかにしていなかったが、国際情勢が緊迫化する中で12月の予算編成を待たずに公表したとみられる。

 茂籠局長は、周辺に広大な訓練空域があり、効率的に要員養成できる点などから小松を配備先に選んだとした。F35A飛行隊は空自全体で4隊目となる。小松に配備される40機は基地既存のF15と置き換えるため、全体の戦闘機数は変わらない。

  ●中ロけん制も狙いか

 防衛省によると、今年4~8月、小松基地を含む中部方面隊の緊急発進(スクランブル)は前年同期比15回増の24回となった。中国やウクライナ侵攻を続けるロシアに対する発進が大半で、同省関係者は「小松に最新機をそろえ、日本海の空の守りを重視する姿勢を鮮明にし、中ロをけん制する狙いもある」と指摘した。

  ●飛行教導群にF15向上型8機

 茂籠局長は宮橋市長に対し、小松基地を拠点とする飛行教導群が保有するF15のうち8機を、27年度末までにF15能力向上型8機と置き換える計画も説明した。宮橋市長は騒音対策などを定めた「10.4協定」の順守などを強く求めたとし「安全性への影響をしっかり見極めた上で対応したい」と話した。

 F35戦闘機 レーダーで捉えにくいステルス性に優れた「第5世代機」と呼ばれ、高い機動力とミサイル探知能力を持つ。米ロッキード・マーチンが開発主体。米空軍仕様のA型、海兵隊仕様のB型、海軍仕様のC型がある。

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