外国窃盗団横行のデマ火消しに奔走 東日本大震災で指揮した元宮城県警本部長が講演

東日本大震災で全体指揮を執った経験を話す元宮城県警本部長の竹内さん(福知山署)

 2011年の東日本大震災時に宮城県警本部長として人命救助や行方不明者の捜索などの全体指揮を執り、退官後は経験を語り継ぐ活動に取り組む竹内直人さん(66)がこのほど、京都府警福知山署で講演した。署員や自衛隊員、市職員ら約70人を前に「想定外を最小限にするには、災害の知識や自治体との連携強化が大切だ」と訴えた。

 竹内さんは09年10月に本部長に就任、11年10月まで勤めた。被災直後は情報が混乱し、誤った被害状況や遺体発見情報が相次いだと振り返り「普段から現場の状況を短時間で客観的に伝える訓練が重要」と強調した。

 交通整理や避難誘導に当たっていた警察官14人が津波に飲み込まれたことについて「管理者として断腸の思い」と声を落とし、避難誘導の場所や撤収時間を事前に決めておく必要性を説いた。

 被災地で外国人窃盗団が横行しているとのデマが流れ、自ら避難所を回って住民の不安を解消した経験を明かし、「危機管理では想像力が求められるが、知識がないと想像力は及ばない。知識を身に付けるには、記録と語り継ぎが鍵となる」と締めくくった。

 福知山署は由良川氾濫による浸水被害を想定し、福知山公立大への機能移転訓練も実施。エアテントの設営や府警本部との無線連絡の手順を確認した。

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