新潟阿賀町でクマに襲われる 男性が顔や腕などにけが 自宅敷地内からクマ出没、柿の木に爪痕とみられる跡 新潟県内のクマによる人身被害6件7人目・2023年度

 10月19日午後10時前、新潟県阿賀町新谷の60代男性が自宅前の路上でクマに襲われ、顔や腕などにけがを負った。男性は新発田市内の病院に運ばれ入院したが、命に別条はない。

* [新潟県にクマ出没警報発令中](https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/274106)

 新潟県警津川署や阿賀町消防本部三川分遣所によると、男性は1人で歩いて帰宅する際、自宅の敷地内から出てきたクマに突然襲われたという。自宅敷地には柿の木があり、幹にはクマの爪痕とみられる跡があった。クマは男性を襲った後、西方向に逃げた。男性が逃げ込んだ近くの家の住民が119番通報した。

 男性は搬送時、意識ははっきりしており受け答えもできたが、顔や両腕、胸、腹などにひっかかれたような複数の傷があったという。男性は「クマの体長は1メートル以上はあった」と話しているという。

 現場は新谷川沿いの集落内で、近くには住宅も多い。男性が襲われた辺りには血痕が生々しく残り、逃げ込んだ家まで点々と続いていた。

 119番通報した男性(70)によると、付近では例年以上にクマの目撃情報が多いが、人がけがをする被害は聞いたことがないという。「まさかと思った。夜は外出しないようにするなど、各自で気を付けるしかない」と警戒した。

 阿賀町は10月20日朝、新谷集落の小中学生の登校には、保護者が車で送迎するよう要請した。クマが再び来る可能性があるため、被害者宅の柿の木に残っていた実は町職員が取り去った。

 今回の被害を受け、阿賀町はクマ被害対策本部を設置。警察や消防との情報共有をより密にし、町民に注意を呼びかけていく。

 新潟県によると、2023年度の県内でのクマによる人身被害は6件7人目。県は9月に、県独自のクマ出没警戒警報を発令している。

クマに襲われた男性宅の柿の木。クマのものとされる爪痕が残っている=10月20日、阿賀町新谷
クマに襲われた男性宅の柿の実を除去する阿賀町の職員=10月20日、阿賀町新谷

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