かつてスポルティングCPのユースでプレーし、3歳年上のクリスティアーノ・ロナウド以上に高く評価されていたファビオ・パイム。
ロナウド自身も2003年にマンチェスター・ユナイテッドに移籍した際に「僕のことをいい選手だと言うのかい?それはファビオ・パイムを見てから言うべきだね」と話したことがあるほどの評価を受けていた天才だった。
しかしファビオ・パイムは、2008年にチェルシーへと移籍したものの全くブレイクすることができず。その後ポルトガルの下部リーグや中国、アンゴラ、リトアニア、カタール、マルタ、ブラジルと様々な国を渡り歩くジャーニーマンとなった。
そして2019年には5gのコカインを所持していた容疑で逮捕され、薬物密売で1年間刑務所に拘留されていた。
その刑務所はポルトガルサッカー連盟の練習場の隣にあり、先輩であるクリスティアーノ・ロナウドらがトレーニングする模様も見られる場所であったという。
2020年末にポーランド3部でプレーしたのを最後にサッカーを離れているファビオ・パイムは、今回『The SUN』のインタビューで以下のように語っていた。
ファビオ・パイム
「僕は本当に特別だった。謙虚であらなければならないが、これは真実なんだ。
残念ながら当時はSNSがなかったので何も記録されていないが、僕のようなクオリティを持つ選手は他にいなかったと思う。
クリスティアーノ・ロナウドはあらゆる努力とハードワークの結果、彼にふさわしいようなレベルに達した。
そして彼と同じような努力と献身を持っていたら、僕はクリスティアーノよりも優れた選手であっただろう。技術でいえば僕のほうが上だった。小さなロナウジーニョだったんだ。
たしかに当時の僕はクリスティアーノより上だった。技術的にはバロンドールを獲得して然るべき選手だったことは間違いないよ。
「若くしてたくさんお金を稼いだことで、自分には努力が必要ないと錯覚してしまった。僕のような人間が億万長者になることは不可能だ。
いくつかの選択について後悔している。歳を重ねて違った見方ができるようになったよ。才能はあったが、心がサッカーになかった。女性とパーティのことばかりだった。
試合に出場しても体はベストの状態でなく、期待に応えられなかった。それができれば、バルセロナかレアル・マドリーにいただろう。
僕がいた刑務所は、ポルトガル代表チームの練習場の隣にあった。EURO2020予選に向けてのトレーニングを見ることができた。
『クリスティアーノがそこにいる。僕もそこにいるはずだったのに』とは思わなかったよ。僕が刑務所にいたのは理由があるからね。
刑務所は僕にとっても家族にとっても辛いものだったが、良いこともあった。『簡単にできることは、自分にとって良いものではない』と学んだ。
そして僕はもう昔のような生活はできない。働かなければならない。生活はより穏やかなものになった。
名声やお金、パーティを手に入れたとき、僕はそれが幸せだと思った。
しかし幸せが何を意味するのか分からなかった。お金はあったが、美味しいものを食べたり、旅行したりすることが何なのか、僕は分からなかったんだ。
ただ今は幸せが何なのかを知り、より少ないものでそれを感じられるようになった」
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かつての記憶を思い出していたファビオ・パイムは、インタビューを受けながら涙を流していたという。