かわいいお菓子工場に潜入 年間400~500種類 じっくり手間暇かけた美味しさ 【実はとちぎで作っています】⑪不二家野木工場

不二家野木工場

 今年もハロウィーンの時期がやってきた。ハロウィーンといえばお菓子。「ミルキーはママの味♪」のCMソングでおなじみの不二家の工場が野木町にあると知り、子どものように目を輝かせながら向かった。

 不二家野木工場は1969年にウエハースの製造工場として稼働を開始。その後1971年に、北関東エリア向けの洋菓子製造拠点工場として増設された。現在は、「ペコちゃんのほっぺ」やバウムクーヘン、チーズケーキ、贈答用のお菓子など年間400~500種類の商品を作っている。

 工場に車を止めて降りた瞬間、ほのかに甘い香りが漂ってきた。さすがお菓子工場。香りだけでもおいしそうでワクワクしてしまう。工場に止めてあったトラックを見ると、ペコちゃんがお出迎え。これからよろしくね。

 工場内部に入る前に指定の作業着に着替えた。着てみるとかなり暑い。衛生管理のために、毎日着替えて働いてくれている従業員さんたちに本当に頭が下がる。

 粘着ローラーやエアシャワー、手洗いなどで全身を清めたら、早速内部へ入っていく。平井健幸(ひらいたけゆき)工場長(56)自ら案内してくれた。

 迷路のように複雑に入り組んだ工場内をスイスイと進む平井工場長の後を、カルガモの子どものように付いて行く。すれ違う従業員たちはみんな笑顔であいさつしてくれた。

 たどり着いたのは、ペコちゃんのほっぺの製造ブース。このブースで働く人たちは「ほっぺタルト係」というらしい。何だかかわいい。

 ペコちゃんのほっぺは小麦粉や卵などの原料をミキサーで混ぜ合わせて生地を作り、油を塗った型に生地を充填(じゅうてん)する。その後全長約20メートルのオーブンで約30分間じっくりと焼く。焼き上がったら型から外し、15分ほど冷ましたらクリームを充填。かわいらしいペコちゃんの焼き印を付けて、フィルム包装し、金属探知機などを通して完成する。

 一つのペコちゃんのほっぺができあがるまでにかかる時間は約1時間。平井工場長は「ペコちゃんのほっぺのイメージはシフォンケーキで、中のクリームも軽め。メレンゲを使ったスポンジ生地で、他社だとなかなかない商品です」と教えてくれた。

 野木工場で作っている商品はまだまだある。続いてやって来たのは焼きたてのクッキーの香りがするブースだ。作っていたのはご当地限定の「カントリーマアム」。製造方法は秘密で教えてもらえなかったが、なじみ深い商品が流れていく様子はやっぱり心浮き立つ。

 他にもバウムクーヘンやチーズケーキの製造過程を見学し、最後に「ペコサブレ」のブースへ。平に伸ばされた生地にペコちゃんの顔が次々とかたどられていく。

 「かわいい」が隊列をなして運ばれていく先はオーブン。約15分かけてじっくり“肌”を焼かれたペコちゃんはご満悦そうに見えた。

 平井工場長は「お菓子は人に幸せを与えられる商品だと思っている。不二家のお菓子が皆さんの思い出を彩る一つになれたらうれしい」と笑顔を見せてくれた。

 不二家のお菓子は今日も、人々に甘い「幸せ」を味わってもらうため、じっくり手間暇かけて製造されている。到着したときより何倍も幸せなあま~い気分で工場を後にした。

ペコちゃんのほっぺ(カスタード)
トラックに描かれたペコちゃんたち
工場に入るための作業着
油を塗った型に生地を充填していく
ペコちゃんの顔の焼き印を付けていく
完成した商品をケースに入れる従業員
焼き上がったご当地限定の「カントリーマアム」
ペコちゃんの顔がかたどられたペコサブレの生地
オーブンでじっくり焼かれていくペコサブレ
平井健幸工場長

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