ほとんど返却されない県議バッジ「貸与」から「交付」へ 自民、規程変更方針11月提案

県議会事務局に保管されている本物のバッジ(左)とレプリカ

 県議会事務局が議員に貸与してきた議員バッジが引退、辞職後もほとんど返却されていない問題を巡り、県議会第1会派の自民は20日、現行の規程を変更してバッジを「交付」とする方針を決めた。11月6日に開く議会運営委員会(議運)で提案する。北國新聞社の取材では、他会派もおおむね自民案に異論はないとみられる。焦点となる元職への対応については、期間を区切って返還を求める方向で検討する。

 現在の県議会議員章規程(1959年施行)では、「県議は身分を表示するため議員章を着用し、退職、失職、死亡した際は直ちに返還する」と定めている。

 県議会事務局は当選証書授与に合わせて各氏にバッジ1個を貸与しており、期数を重ねればその分、手元にあるバッジも増える計算となる。貸与される本物は台座に18金、中央の菊に14金が使用され、1個約4万7千円。レプリカは議員が求めた場合に約5千円で販売している。

 今年9月、石川と同様にバッジを「貸与」としている福井県議会でレプリカの返却や本物の紛失が明らかとなり、石川でも調べたところ、返却されて保管しているバッジは6個(9月末時点)で、このうち3個は本物ではなくレプリカだった。議員側も事務局側も大半が「交付」と解釈し、返還が必要という認識が薄かったためという。

 問題を受けて会派の意見をまとめるため、自民は20日開いた非公開の県連役員会で対応を諮った。終了後、和田内幸三幹事長が「4年に1回の当選の証しと、議員になったことの誇りとして『交付』とするよう提案する」と説明した。金の使用を減らすなどして現在よりも安価に抑えるよう事務局に求める方向だ。

 第2会派「未来石川」の一川政之幹事長は取材に対し「会派の中で今後検討していくが、ルールを形骸化せず、しっかりと徹底することが必要だ」と語った。

 公明の谷内律夫氏は「会派でまだ話し合っておらず、議運までに意見をまとめる」と述べるにとどめた。共産の佐藤正幸氏は「議員バッジが高額である必要はなく、純金を使わなければいけないことはない。安価なものにして交付でいいのではないか」とし、参政の川裕一郎氏は「バッジにこだわりはなく、貸与でも交付でも構わないが、議会のルールを徹底すべきだ」と話した。

 議員章規程を改正する場合は、議運の了承を経て議長が決定することになっている。

  ●30府県「交付」扱い

 石川県議会事務局によると、全都道府県議会のうち、少なくとも30府県は議員バッジを「交付」と定めていた。石川県では1991年(平成3)年以降、延べ約400人超に貸与されたと考えられ、全ての返却は困難とみられる。

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