都ホテル跡、特措法活用 高さ制限緩和可能に

更地の状態が続く金沢都ホテル跡地(右)=金沢市本町2丁目

  ●金沢経済同友会と意見交換、知事が見解

 金沢経済同友会と馳浩石川県知事の意見交換会は20日、金沢市の金沢ニューグランドホテルで開かれた。金沢駅前の一等地で更地の状態が5年近く続く金沢都ホテル跡地を巡り、馳知事は、既存の高さ制限を緩和できる国の都市再生特別措置法の活用に前向きな姿勢を示した。金沢市と、跡地を所有する近鉄グループが特措法による開発に合意し、協力の要請があれば「県の役割を果たしていく」と述べた。

 金沢経済同友会側が馳知事に対し、都市再生特別措置法活用の観点から、跡地議論を前に進めるべきだと提案した。

 馳知事は、金沢駅前の地価が北陸信越5県の新幹線駅前の中で、唯一100万円(1平方メートル当たり)を超えているとし、「北陸新幹線県内全線開業で石川の玄関口として一層重要性が高まる。このまま放置されるのは適切でない」との考えを示した。

 金沢市は都市計画法に基づき「高度地区」を広範囲に指定し、地区ごとに8メートルから最大60メートルの高さ制限を設けている。金沢都ホテル跡地は60メートルに設定されており、開発のハードルとなっていた。

  ●既存の規制を除外

 馳知事は、福井駅前や新潟三越跡地で国の都市再生特別措置法を活用し、高さや容積率に関する既存の規制を除外した事例に言及。「金沢市が特措法を活用し近鉄グループに開発を働き掛けるのかどうか。近鉄がどのような対応をするのか見守りたい」と話した。

 特措法を活用する場合は、まず地元市が都市再生緊急整備地域への指定を申請。国や県、学識者、民間事業者などで準備協議会を組織し、整備方針などの素案を作成する。

 その後、国が同地域に指定した上で、高さ規制などにとらわれず開発が行えるエリアとして、都市再生特別地区が設定される。

 

 ★都市再生特別措置法 市街地再開発のため2002年に制定された。土地を高度利用するために国がまず「都市再生緊急整備地域」を指定。このうち、都市再生特別地区を設定すると、既存の容積率や高さ制限にとらわれず、自由度の高い開発が可能になる。

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